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吉岡里帆を育て、長嶋茂雄も活用。
阿部慎之助二軍監督「見られる効果」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/02/07 19:00
紅白戦で生還した増田陸(左)をグータッチで迎える巨人・阿部二軍監督。
「一軍気取りでやっているとやられる」
その注目効果が早速、現れたのが2月4日に行われた一、二軍の対抗紅白戦だった。
「総入れ替えするよ。一軍気取りでやっているとやられる」
試合後に一軍チームの白組を指揮した元木大介ヘッドコーチが活を入れたように、この紅白戦の主役はビジターユニフォームをまとった紅組の選手たちだった。
「まずは観察しようと。この子たちがどういう気持ち、振る舞いでベンチにいるのか。そこをしっかりベンチで見ていましたね」
初采配をこう振り返った阿部監督。
サングラス越しに選手の一挙手一投足に目を配り、ベンチワークにも頭をフル稼働した。初回にいきなり1番の湯浅大内野手が左中間を破る二塁打を放つと、すかさず2番の増田大輝内野手には送りバントのサインを出した。
一軍チームを圧倒した。
「最初は(選手の打撃)結果だけメモしていたんだけど、サインを出したり忙しくなって途中でそっちに専念した。サインミスもあったしね。片岡(治大三塁)コーチには謝りました」
阿部監督は自分の監督業についてはまだまだダメ出しだった。それでも選手が監督の目を意識し、監督の闘志を受けて一軍組に牙を剥いた。
1点を先制された3回には無死満塁から増田陸内野手の押し出し四球で同点に追いつくと、期待の育成助っ人、イスラエル・モタ外野手の勝ち越しタイムリーで試合をひっくり返した。
さらに5回には吉川大幾内野手、立岡宗一郎外野手の長短打、7回には再び立岡の適時打で追加点。
投手陣も先発の2年目左腕・横川凱投手から7人の継投で一軍打線を5安打1点に抑え込んだ。終わってみれば阿部二軍が7対1と一軍チームを圧倒した。