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トルシエ「森保監督には2つの選択肢」
五輪・金メダル獲得へのプランとは?
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2020/02/05 20:00
1月29日にJFAからU-23日本代表監督続投が発表された森保一監督。2つのチームをどうまとめていけるか……。
「森保自身も五輪への本気を示す必要がある」
「そして、もしそうできないのであれば……もうひとつのメソッド、『プランB』しかない。
A代表と五輪代表を完全に分けて――A代表にも五輪世代を多少は入れてほしいという注文はあるが――南ア戦とコートジボワール戦だけ、オーバーエイジを含めた五輪のベストメンバーで臨む、というプランになる(ミャンマー戦、モンゴル戦は通常のA代表チームとして戦う)。
とにかく五輪こそが最優先事項であり、マネジメントでもピッチ上のプレーでも、本番に向けての真剣な姿をここで見せねばならない。森保自身も五輪に向けて本気で集中していることを示す必要がある。
要約すると、最初の3試合をラボとして五輪代表のために集中して優先的に取り組む。それが難しいのであれば、A代表よりも優先する宣言をした上で、五輪代表の2試合に集中的に専念する。それが私が考えた末の、ふたつのメソッド、そしてヴィジョンだ」
――重ねて確認しますが……森保監督が五輪本大会に向けての適任者であるわけですね。
「そうだ。彼には実績がある。アジアカップでもアジア大会でも、彼のチームは決勝に到達した。E-1も韓国に次ぐ準優勝だった。どれも優勝には届かなかったが、残した結果はすべて評価できる。U23アジア選手権だけで彼を評価することはできない。ベストチームではなかったのだから。
また現在の状況をみても、この時期に監督交代するのはもう遅すぎる。だから彼に任せるべきだし、3月の試合は目的を再設定するいい機会だ。明確なメッセージを発信し――最優先事項たるメインディッシュが何であるのかを表明し――3月の試合が五輪に向けての下準備であることをハッキリさせることだ。
本物のシェフとして森保は、状況はこうであるからこれからはこうするのだということをしっかりと表明しなければならない」
「重要なのは100%のベストメンバーの招集」
――3月はメッセージを発信するうえでとても重要な月であると。
「結果はさほど重要ではないのだが……五輪代表チームへの信頼が揺らいでいる現在の状況を考えると、すべての人々を納得させるものを試合で示す必要はあるだろう。それは勝った負けたという記録上の結果ではなく、人々を安心させる何か……本大会に向けて、誰もが希望と確信を抱けるような何かだ」
――つまりアグレッシブかつ攻撃的で魅力的なパフォーマンスであるわけですね。
「その通りだ。サポーターやメディア、選手たちが自信を取り戻すことが急務であるからだ。そのためにも3月の2試合は最優先のなかの最優先だ。重要なのは100%のベストメンバーを招集することであり、そのメンバーで集中的に取り組むことだ」