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岩清水梓が妊娠で不在も4冠に照準。
監督と選手が語るベレーザの勝負勘。 

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海江田哲朗

海江田哲朗Tetsuro Kaieda

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photograph byTetsuro Kaieda

posted2019/11/26 08:00

岩清水梓が妊娠で不在も4冠に照準。監督と選手が語るベレーザの勝負勘。<Number Web> photograph by Tetsuro Kaieda

なでしこジャパンでも押しも押されもせぬ主力の籾木結花。ベレーザが常勝軍団となる中で彼女も成長を遂げている。

籾木結花が語る神戸戦での勝因。

 10番を背負う籾木結花は、神戸戦を次のように振り返った。

「前半早々に失点し、ここで負けたら5連覇はなくなるというゲーム。大事な試合だとわかっていましたが、起こってもない未来に囚われることなく、目の前の相手にどう勝つか、どのようにゴールを奪うのかということに意識を集中させて後半に入れました」

 64分、ベレーザは籾木のゴールで同点に追いつき、土壇場のアディショナルタイム、ついにゲームをひっくり返す。90+2分、コーナーキックの流れから籾木がクロスを上げ、植木のヘディングシュートがネットを揺らした。

「その前のコーナーキックでは自分が中に入って競る形になり、相手のクリアが頭上を越えていったんです。ゴールを取るために自分は何をすべきなのか。今度は外で待ってみようとポジションを取ったらそのとおりにボールがきて、相手の準備が間に合わないようにトラップから早いタイミングで蹴りました。あそこにクロスを入れれば、理子が相手の前に入ってくれるはずだ、と」

「自分たちだけでもやれることを」

 なんたる勝負強さだろう。籾木はベレーザが勝者たり得る理由をどこに見つけるのか。

「イワシさんがプレーできなくなってからは、あらためてその存在の大きさを感じる日々でした。これまではイワシさんなら止めてくれるという支えが無意識にあり、いざそれがなくなって自分たちの弱さが出たこともあります。ずっとベレーザを引っ張り続け、4連覇までチームを育ててくれた。その過程、私たちは本当にたくさん迷惑をかけてきたんですよ。

 そして、いろいろなことを教わってきました。今回、イワシさんらしい選択をしたことに際し、あとは自分たちだけでもやれることを示したい、プレーで恩返ししたい、成長した姿を見てもらいたい。その思いの重なりが、シーズン後半の厳しい戦いでも勝ち切れた要因だと思います」

 ベレーザはなでしこリーグカップ、リーグを制し、残すタイトルは皇后杯のみ。2年連続で3冠達成となれば、これも史上初の快挙だ。

 並行して11月26日からは女子クラブ選手権2019 FIFA/AFCパイロット版トーナメントが韓国で開幕し、4冠の可能性もある。12月にはEAFF E-1 サッカー選手権も控え、籾木ら代表組はもはや過密日程という言葉すら生ぬるい。

【次ページ】 優勝より、もっと遠くを見据えて。

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