水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
水沼貴史が高校世代に求める素質。
「伸びる選手にあるものは……」
posted2019/11/29 11:30
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
Getty Images
先日閉幕したU-17W杯では日本の試合のほか、3位決定戦などの解説を担当しました。
この世代の日本代表は、昨年のU-16インターナショナルドリームカップなど見てきていたので、成長を感じる部分や逆にもうひと伸び必要なところなど、いろいろと感じることが多くありました。
成長を感じた点でいえばフィジカル面。大会中、コンディションの問題を抱えた選手が多くいたようですが、FIFAが算出したデータでは走行距離やスプリント数は出場国の中でもトップレベル。体格では劣るものの、組織や連動という部分で充分にやれていました。
個人に目を向けると、この4人が面白い選手だな、と感じましたね。
GK鈴木彩艶(浦和レッズユース)
MF藤田譲瑠チマ(東京ヴェルディユース/トップチーム昇格内定)
FW西川潤(桐光学園高校/セレッソ大阪内定)
FW若月大和(桐生第一高校/湘南ベルマーレ内定)
リスペクトされた西川と若月。
アフリカ系のルーツがある鈴木は、身体能力がすごい。キックではなくロングスローで味方へつなぐ、あの強肩には驚かされました。
代表チームに帯同されて間もない中盤の藤田もいい選手でした。彼はすでにトップチームの試合も経験している上、コミュニケーション能力がすごく高い。すぐに味方の心を掴む能力は、これから世界に出て行く上でも欠かせない力だと思います。
チームの中心だった2トップの2人、西川と若月も世界に大きなインパクトを与えました。特に若月は初戦のオランダ戦(2ゴール)で見せたスピード、キレは際立っていました。
大会後にU-17日本代表の森山佳郎監督と話をする機会があり、「(2戦目の)アメリカがあそこまでリトリートする(引いてくる)とは思わなかった」と驚いていたのが印象的でしたね。以前の対戦でアメリカは前からどんどん仕掛けてきた。それだけ西川、若月らを警戒したのでしょう。