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岩清水梓が妊娠で不在も4冠に照準。
監督と選手が語るベレーザの勝負勘。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2019/11/26 08:00
なでしこジャパンでも押しも押されもせぬ主力の籾木結花。ベレーザが常勝軍団となる中で彼女も成長を遂げている。
W杯で10人を送り込んだ面での悩み。
永田監督が岩清水から妊娠を知らされたのは神戸とのカップファイナルが終わったあと。「もし言ったら、絶対試合に出してくれないでしょ?」と涼しい顔で言ったそうだ。
6月には、フランスW杯があった。なでしこジャパンに大挙10名(植木理子は直前の故障により離脱)を送り込んだベレーザには特有の困難がある。フル代表、年代別代表の活動があるたびにごそっと選手が抜け、試合ではスタメンの11名とリザーブはキーパー1名、フィールド3名の最少編成で臨むことも珍しくなかった。
「みんなベレーザが好きで、ここでプレーすることを中心に考えてやってはいますけれど、やはりどこかで混ざってくるんです。取材対応なども多く、週末のゲームに向けて、心理状態、コンディションがなかなかマックスにならない。
今年はW杯の時期だけではなく、シーズンを通してずっとそんな感じでした。代わりにチャンスを得た選手が活躍し、チームを刺激してくれたり、育成組織のメニーナの選手たちにもだいぶ助けられましたね」
入口を突き、ゴールにつなげる。
永田監督は、優勝につながるキーとなったゲームに第13節の浦和レッドダイヤモンズレディース戦(2-3)と、第16節の神戸戦(2-1)を挙げる。
「浦和に敗れ、一時は自力での優勝が消えました。状況的に追い込まれたことで、最後に勝つという逆算の部分はより強まったように思います。神戸とのゲームは、全体的にはいつもの流れです。ボール支配率が上がっていき、動くのが相手のほうになってきた。ボールを持てるということは、攻撃の入口がたくさんあるということ。
入口をどのように突き、ゴールにつなげるかというイメージはできている。そういったゲームの進め方をすれば、ビッグチャンスは必ずくる。うちの場合、交代選手が入れば、さらにギアを上げられます。あとは攻撃を仕掛けているときの裏側、相手のカウンターをいかに防ぐのか。そこのマネジメントを怠らないようにするだけ。最後にまくれたのは、技術、戦術を研ぎ澄まして勝つ確率を上げつつ、ピッチで違いをつくれる選手たちがいたおかげです」