衝撃を受けたイ・ガンイン。

　そして、ラウンド16の韓国戦。スタメンに名を連ねた西川は、前半から5バック気味で守備を固めてきた相手に対し、積極的に仕掛けようとした。だが、時間の経過とともに思うようなプレーができなくなった。それでもチャンスには絡んでいた。

「（前半のチャンスで）左からクロスが来た時、『体のどこでもいいから当ててゴールにねじ込む』ぐらいの気持ちがあれば、体ごと飛び込めていた。それが足りなくて、結局は（中途半端な）お腹の辺に当たってしまって、ゴールに押し込めなかった。試合終盤に背後に抜け出した時も、オフサイドになってしまったのですが、あれも1度下がってから加速することをやっていれば、いけたのかなと。細かいプレーが勝敗を分けるんだなと思った」

　その中で西川は韓国の10番であり、スペインのバレンシアでプレーするイ・ガンインに大きな衝撃を受けた。

「イ・ガンインに対して、僕は激しくチャージに行ったのですが、腰の入れ方、お尻でグッとガードされて、そのまま力を利用して反転されてしまった。僕が焦っていたというか、ちょっと冷静さを失っていたことを見透かされているように感じました。彼はバレンシアでやっていてトップにも絡んでいる選手。自分の中の基準、世界への指標になった。それを肌で感じることができた。この感覚を消さないようにしたいし、僕は決してナンバーワンではないんです」

「悔しさをU-17W杯でぶつけたい」

　日本代表というものは何たるものか、世界基準というのはどういうものか。そして結果を出せなかったときの怖さも、U-20W杯で経験した。

「僕は見ていないけど、ネットで『なぜ西川を使っているのか』とか『使えない』とか、『アジアMVPなのに』とか書かれていることが耳に入ってきた。それは言われても仕方がないと自分でも感じていたし、本当に悔しい。ここまで言われたのは初めてで、プロの世界はこういう世界なのだなと感じた。これがA代表だったら……。友達も言っていましたが、注目度もこれまでと違い、マイナスの意見の量も多かった。悔しさは今でもすごくあって、見返してやりたいと思った」

　だからこそ、彼はU-17W杯に出ることを望んだ。すでにU-20W杯に出場している彼が、この大会に無理して出る必要はなかったが、この大会に出なければいけない理由があった。

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「自分がU-20W杯でいい結果を残せなかったので、その悔しさをU-17W杯でぶつけたい。一度この経験をしたのでぶつけられると思う。悪いプレーをすれば言われる世界。でも、この経験を高3で経験できたのは大きい。この経験を良かったと思えるようにしないといけないし、U-17W杯はそれを生かす時だと思っています」

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