熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
U-17ジャポンはブラジル人好み?
観衆の「オレー」とベタ褒め報道。
posted2019/10/30 20:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
試合後、森山佳郎監督は「考えうる最高の結果」と満面に笑みを浮かべ、「ひとりひとりが2つ、3つのタスクをこなしてくれた」と攻守両面でハードワークし続けた選手たちを褒めた。一方、敗れたオランダのペーター・ファン・デル・フェーン監督は、「パスミスが多く、運動量も少なかった」と厳しい表情を浮かべていた。
U-17ワールドカップ(W杯)グループステージ初戦、両監督の反応がこの試合の内容と結果を雄弁に物語っていた。
とはいえ、3-0というスコアほど楽な試合ではなかったのも事実である。
立ち上がりの10分あまりは、オランダがスピードとパワーで中盤を支配し、サイドから鋭いクロスを入れて襲いかかる。日本は防戦一方で、辛うじて跳ね返してもすぐにボールを奪われ、また攻められる、の繰り返しだった。
前へ飛び出して敵のパスをカットしたGK鈴木彩艶(浦和ユース)がボールを蹴り損ねて大ピンチを迎えたり、CB鈴木海音(磐田U-18)がクロスを頭でクリアしようとして空振りする場面も。日本選手がオランダの猛攻に面食らっていたのは明らかで、「一体、何点取られるのか」と懸念せざるをえない状況だった。
流れを変えたトリッキーなプレー。
ところが、このような流れを変えるプレーが飛び出した。
15分、右サイドハーフ成岡輝瑠(清水ユース)が右サイドでパスを受けると、近くの味方にボールを戻すと見せかけ、寄せてきたマーカーの股の間を抜いて縦へ抜け出す。
ブラジルの観衆は元々日本びいきである上に、こういうトリッキーなプレーが大好きである。スタンドがどっと沸いた。
成岡が放った低い弾道のクロスはGKに止められたが、やっと積極的なプレーが出たことで、日本にまとわりついていた重苦しい雰囲気が一掃された。