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鈴木誠也の打者、人間として凄み。
成長の陰に「野球の神様」のお告げ。 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2019/10/28 19:00

鈴木誠也の打者、人間として凄み。成長の陰に「野球の神様」のお告げ。<Number Web> photograph by Kyodo News

カープのレジェンド前田智徳から背番号「1」を引き継いだ鈴木。チームの中心選手へと育った。

OPSが3度目の10割超え。

 すでに日本球界でも打者を評価する指標として浸透しているOPS(出塁率+長打率)は今季、12球団の打者で唯一の10割超えとなる1.018を記録した。

 10割超え3度目は、ヤクルト山田哲人やソフトバンク柳田悠岐に並ぶ回数となった(ちなみにDeNA筒香嘉智1度、巨人丸1度、坂本勇人0度)。数字上でも別格の存在感を示した。

 昨年までは打撃練習では打撃の引き出しを増やすためにマイク・トラウト(エンゼルス)やミゲル・カブレラ(タイガース)、坂本勇など日米のスラッガーを真似る姿が見られた。

 今季は「そうする必要があまりなかった」と打撃に大きな迷いや不安はなくなり、黙々と自分の形でバットを振ってきた印象が強い。

1冊の本との出合いも大きかった。

 ただ、今年の成長は技術面よりも、精神面の方が大きかったように感じる。

「今年(8月に)25歳になるシーズンを前に新井さん、丸さんが抜けた。チームも大きく変わるシーズンで、自分も変わらないといけないなって。自分でも変わりたいと思っていた」

 年齢はチームでも、まだ若い。ただ、立場は中軸。頼る存在がいなくなったことで、鈴木は自覚を強くした。

 また、1冊の本との出合いも大きかった。

「これまでも出版社から球団に本が届くことはあったんですけど、読むことはなかった。ただ今回は神様に“変われ”と言われているような気がして手に取って読んでみたんです」。

「自尊心」についてまとめたものだった。普段あまり読書をしない男が自己暗示のように熟読した。ネクストサークルへ入ると「野球の神様が打たせてくれるかもしれない」とバットリングやマスコットバット、滑り止めスプレーなどをきれいに並べるルーティンを続ける鈴木らしい思考であり、行動。信じ切る純粋さと、それをまっとうする強さを併せ持つ。

【次ページ】 大ケガのときも野球の神様のお告げが。

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