及川にいったら、遠藤にも。

　阪神の4位指名が近づくにつれて、なんだかワクワクしてきた。

　その間に「甲子園関係」では、霞ヶ浦高の大型本格派・鈴木寛人（投手）が広島3位で指名され、4位が始まって、総合力では奥川に近い実力の津田学園・前佑囲斗（投手）がオリックスに、U18メンバーの花咲徳栄・韮澤雄也（遊撃手）が広島に指名される。

「横浜の及川にいったんですから、東海大相模の遠藤にもいっとかなかったら、失礼になるんじゃないですかね……」

　半分思いつきで、そんな解説をした瞬間だった。

　阪神、遠藤成、内野手、18歳、東海大相模高校。

　アナウンスが流れて、うわーっ！　と驚きながら、阪神に何か「大きなうねり」が起こり始めていることを予感し始めている。

5位も高校生、矢野監督は満面の笑み。

　さらに、5位では、中京学院大中京高の強肩捕手・藤田健斗でダメ押し。

　左右の大型本格派に捕手、遊撃手、外野手。甲子園で奮闘した高校球児たちで「センターライン」を固めてしまったから驚いた。

　テレビ中継の画面に、阪神・矢野燿大監督の満面の笑みが大写しになっている。

　あれっ、もしかしたら……。

　6位指名の東海大九州キャンパスの快速球右腕・小川一平（投手）を含めて、阪神が指名した選手に、来季の即戦力が見込める選手は1人もいない。

　1位から5位までの「甲子園スター」5人は3年後……いや、5年後の戦力だ。それなのに、なぜ矢野監督がこんなにニコニコしているのか。

　もしかしたら……。

【次ページ】　ドラフトは5年後、10年後のプロ野球だ。