“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
今季1点でも金子翔太は欠かせない。
J1清水を支える右サイドの働き者。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/10/05 19:00
清水はJ1第27節湘南戦で6-0の快勝。金子は得点こそなかったが、3得点に絡む活躍を見せた。
昨季は10点、今季はまだ1点。
「自分の中で、『今、エスパルスで一番ゴールを取りたいのは誰?』と聞かれたら『僕です』と迷いなく答えられます。それだけ得点には強い思いがあります。ですが、その中でもチームが勝つ、円滑に回るプレーをしないといけないと思っています」
昨季はキャリアハイとなる10ゴールを挙げ、ポイントゲッターとなったが、今年は未だ1ゴール。
この数字の落差だけを見たら、「活躍していない」とみなされてしまうかもしれない。だが、彼は昨季とは異なる形で「いなくてはいけない存在」になっている。
ここに至るまで、金子は大きな葛藤を抱えていた。周りだけではなく、昨季マークした10ゴールが自分自身に大きなプレッシャーを与えていた。
不完全燃焼の試合が続く日々。
「ゴールが欲しい。これは本音です。チームが勝てたとしても(自分の)ゴールがない。チームのためと言い聞かせていたけど、本能的には(ゴールを)欲していたんです。知人から『試合後の場内一周で勝ったときでも楽しそうな顔をしていない』と言われたくらいでした。やっぱり昨年10ゴールで今年1ゴールは本当に情けない気持ちになります。
今年も開幕からスタメンで出場し続けることができているんですが、なかなかゴールに絡むことができなかった。(ヤン・)ヨンソン監督から篠田(善之)監督に代わったことで、結果を出せていない選手が使ってもらえなくなるのは当たり前。ハーフタイムで交代(第17節サガン鳥栖戦と第23節北海道コンサドーレ札幌戦)する試合や、スタメンを外される試合も出てくるのは理解していました。ずっと自分の中で不完全燃焼の試合が続いていて、正直悩んでいました」