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“重圧”に勝ったラグビー日本代表。
負けられない開幕戦で得た勝ち点5。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/09/21 12:00
序盤は「普段なら絶対にやらないようなミス」が続いた日本。プレッシャーがかかる開幕戦でノルマの勝ち点5を獲得した。
開始早々にミスから失点。
果たして、ロシアのキックオフから日本は自陣深くに押し止められる。それも、自分たちのミスが折り重なっていくのだ。
4分を過ぎてようやく敵陣へボールを蹴り出すことができたものの、すぐにハイパントを蹴り返されるとスタンドに悲鳴が駆け抜ける。フルバックのウィリアム・トゥポウがノックオンしてしまい、ロシアのウイングに拾い上げられて先制のトライを許してしまうのだ。ゴールも決められ、いきなり7点のビハインドを背負った。
「W杯を経験していないメンバーも、僕を含めて多くいたので、雰囲気に最初はチーム全体が飲まれてしまった」とは、開始早々にペナルティをおかしたナンバー8の姫野和樹である。スクラムハーフの流大も、「普段なら絶対にやらないようなミスが重なって、ロシアに先制トライまで持っていかれて。もちろん緊張もあって、固さもあったと思います」と振り返る。
キャプテンでフランカーのリーチ マイケルや流らのリーダー陣は、「これがW杯、これが開幕戦だからミスがあることを受け入れて、もう1回次の仕事、目の前のプレーに集中していこう」とチーム全体を鼓舞していく。
松島の2トライ、リードして後半へ。
試合は始まったばかりである。しかし、ビハインドを背負ったまま時計の針が進んでいけば、重圧が焦りへ変質しかねない。キックを巧みに使ってスペースを突いてくるロシアを、勢いに乗せてしまうことにもなる。
11分に右ウイングの松島幸太朗がトライをあげるものの、田村はゴールを外してしまう。ハイパントのボール処理が安定せず、我慢の時間が続く。34分には松島が再び右隅へ飛び込むが、テレビジョンマッチオフィシャルでトライは認められない。
前半の残り時間が2分を切ったところで、日本は素早いテンポのアタックを重ねてトライへ結びつける。最後はまたしても松島だ。右サイドからゴール中央まで持ち込み、田村がゴールを決めて12-7でロッカールームへ戻っていった。