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“重圧”に勝ったラグビー日本代表。
負けられない開幕戦で得た勝ち点5。
posted2019/09/21 12:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Naoya Sanuki
スタンドオフの田村優の言葉が、選手たちのメンタリティを分かりやすく言い表していた。
「格下ですし、5ポイントも取らなきゃいけないし、絶対に勝たなきゃいけないし。ホントに緊張というか……緊張しました」
通算9度目にしてアジア初の開催となるラグビーワールドカップが、9月20日に開幕した。オープニングセレモニーに続いて行われた開幕戦で、日本はロシアと激突した。
5カ国が総当たりで争うプール戦の対戦相手で、ロシアはワールドランキングがもっとも低い。20位は参加20か国のなかでも下位から3番目だ。
欧州予選上位国の規定違反により、繰り上がりで出場権を得た国でもある。史上初のプール戦突破、すなわちベスト8入りをターゲットとする日本にとっては、絶対に負けられない相手だった。
欲しかったボーナスポイント。
ランキング10位の日本が同1位のアイルランド、同7位のスコットランドを上回るためには、勝利による勝ち点4だけでなく、4トライ以上で得る勝ち点1のボーナスポイントも加えておきたい。南アフリカ、スコットランドと3勝1敗で並んだ4年前のプール戦では、ボーナスポイントの差で8強入りを逃している。
勝利するだけでは物足りない一戦なのだ。
さらに付け加えれば、自国開催のW杯である。舞台となった東京スタジアムは、4万5745人の観衆で埋め尽くされた。昨年11月のニュージーランド戦の観客数を上回った。赤と白のユニフォームカラーで埋め尽くされたスタンドの景色が、重圧としてのしかかってもおかしくない。