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なぜ巨人・南アを日本の小兵が倒せた?
ラグビーW杯の“80分間すべて奇襲”!
posted2015/09/21 12:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Getty Images
目の前で起きている出来事に、現実感がなかった。
ラグビー日本代表が、ワールドカップで、南アフリカを倒す。
果たして、そんなことが起こりうるのか。
南アフリカと言えば、世界に冠たる巨人国だ。
他を圧する雄大な体格でボールを奪い、密集を制圧し、試合を支配する。世界王者・ニュージーランドと互角の対戦成績を残してきた唯一のライバルであるもうひとつのラグビー王国。ワールドカップでは2度の優勝を飾り、過去4敗しかしていない。
対して日本代表は、過去7度行われたすべてのワールドカップに出場してきたものの、勝利は1991年大会でジンバブエから奪った1勝のみという、世界ラグビーでは弱小国に甘んじてきた国だ。
そんな日本が、南アフリカを破る。そんなことがありうるのか。
間違いないのは、それが本当に起こったという事実だけだった。
W杯本番へ向けて、地道に布石を打ってきた。
「南アに勝つ!」
今大会の組み合わせが決まって以降、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチはそう繰り返してきた。
2014年5月にワールドカップの出場権を獲得してからは、「これ以降はすべての試合がワールドカップの準備になる」と公言。目の前の試合で勝利を求めるのではなく、W杯で勝つための布石を打つだけだと発言し続けてきた。
だが振り返れば、それもエディーなりの誠意だったのかもしれない。
2015年のパシフィックネーションズカップでは、カナダを破っただけでアメリカ、フィジー、トンガに連敗したが、エディーの言葉はぶれなかった。