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内田篤人が鹿島で新たに抱える悩み。
「やってないと発言権ってないよな」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/07/31 11:40
内田篤人は3月30日の磐田戦以来、ピッチに立てていない。しかし転換期を迎えた鹿島に必要な人材であることは間違いない。
今の俺に文句言える人って……。
ドイツで7年半プレーし、鹿島に復帰するにあたって内田に求められたのは欧州トップレベルでの経験の還元でもある。それなのに、怪我をしてピッチを離れていてはチームメイトを見ていて思うことがあっても強く言えない。
これが海外にいれば違う。おもしろいことに外国人選手は、自分が思ったことであれば立場などどうであっても、思ったことをどんどん口にする。ただ、日本ではそうではない。
「リハビリやっててさ、若い奴らと練習してたりするとさ、やっぱり紅白戦とかちゃんとやってるやつじゃないと発言権ってないよな、って思うんだよ」
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プレーができないだけでなく、具体的なアドバイスはおろか思いも伝えられない。
自分の発言にどうしても慎重になってしまう。それは立場が強いからでもある。年長者であり、主将であり、圧倒的なキャリアを誇る先輩なのだ。
「今の俺に文句言える人っていないんだよね。わがままを言えちゃう。だからその分、気をつけないと。もし俺が若手だったら『何言ってんだ、お前』って(先輩に)言ってもらって、それで終わりだと思うんだけど、そうもいかないしさ」
過去にはない悩みが1枚上乗せされている感じである。
いっつも難しいところを怪我する。
今回の膝の負傷は、予想以上に重かった。右ひざや周辺の骨や靭帯の複数箇所を同時に痛めた。
「ドクターからさ、いっつも難しい、症例の少ないところばっかり怪我するって言われるの。もっと簡単なところ怪我すればいいのに、って」
といって笑う。そういった治療の難しい箇所のけがだからこそ、復帰まで毎回長引くのだと思うと本来は笑えることではないのだが、どうにもならないことは笑ってしまうのが内田だ。