バレーボールPRESSBACK NUMBER
厳しいセッター争いにも折れない心。
バレー代表・深津英臣「這い上がる」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byItaru Chiba
posted2019/07/25 11:40
深津英臣をはじめ、藤井直伸や関田誠大と、男子バレー代表の熾烈な正セッター争いは今後も続いていく。
「バレーボールを愛しています」
東京五輪まで、もう1年しかない。
東京大会の翌週から外れた深津の代わりに合流した藤井が関田と共にネーションズリーグでトスを上げ、両者共に一定の成績を残し、結果で証明して見せた。10月のワールドカップでおそらくセッターとしてコートに立つであろう2人に、異論を唱える声は少ないはずだ。
目指すべき場所は遠く、その道のりは厳しい。それが深津の現実だ。
でも、それでも願うのはなぜだろう。ここから這い上がれ、と。
目指すべき場所から今は遠く、その道のりは厳しいとわかっていても、その1本に心が伝わる。そんな選手はそういないからだ。
愚直で諦めが悪く、もがき苦しんで、カッコ悪くても。勝ち続けた時も、日本を背負う苦しさを一身に背負ったあの頃も同じ。
「僕はバレーボールを愛しています。もう、その一言に尽きるんです」
そうだった。言わずとも、思っているはずだ。誰よりも、ここから這い上がる――と。