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厳しいセッター争いにも折れない心。
バレー代表・深津英臣「這い上がる」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byItaru Chiba
posted2019/07/25 11:40
深津英臣をはじめ、藤井直伸や関田誠大と、男子バレー代表の熾烈な正セッター争いは今後も続いていく。
アタッカーを活かすためのトス。
星城高ではインターハイを制し、東海大学でも日本一を経験。即戦力としてパナソニックに入団した。周囲は、それまでレギュラーセッターを務めた宇佐美大輔から今度は深津に移行するのだろうと思っていたし、深津もその覚悟は持っているつもりだった。
だが、それは自信ではなく、慢心だったのかもしれない。そう気づかせてくれたのが、同じパナソニックでプレーし、大学時代から日本代表にも選出されてきた清水、福澤達哉の存在だったと深津は言う。
「スパイク練習をしていても、中途半端なトスを上げると打ってくれないんです。とにかく細かく、この場所で取って、ここにこのタイミング、これぐらいの高さで上げてくれ、と要求されて、それを僕がクリアできなければ打ってくれない。でもそれだけこだわりがある分、実際にそのトスが上げられれば、あの2人は確実に絶対決めてくれるんです。
この2人を活かせなければ絶対コートには立てないし、そのためにどうしたらいいかと考えたら、練習するしかない。とにかく必死で、あの時、清水さんと福澤さんを追いかけて、練習したおかげで今があるんだと心から思います」
中垣内監督も認めた深津のゲームメイク。
Vリーグでも日本代表でも経験を重ねた今も、その根本に変わりはない。できなければ、ひたすら練習するのみ。なぜ自分が今代表では選ばれないかと考えれば理由は明確で、まずクリアしなければならない課題は勝負所でトスを偏らせず、前衛、後衛を含めたミドルラインの攻撃を展開すること。
実際に18/19シーズンはとにかくミドルの打数を増やすこと、サイドに偏らずバックアタックも絡めた攻撃展開をつくる意識を持ち続け、練習に時間を割いた。
その結果、Vリーグで連覇を遂げ、中垣内監督にも「俺を選べ、選んでくれ、と伝わってくるようなゲームメイクだった」と言わしめた。