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アーセナルにとっては最悪の夏か。
補強は若手中心、主将は移籍志願。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto Press

posted2019/07/21 11:40

アーセナルにとっては最悪の夏か。補強は若手中心、主将は移籍志願。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

新戦力補強が進まない中、頼れる主将DFコシェルニーが移籍を志願。アーセナルは上位3クラブを脅かす存在になれるか。

エジルは笑顔でプレシーズンに同行。

 アーセナルOBで、現在アヤックスのディレクターを務めているマルク・オーフェルマルス氏が、「エジルのようにモチベーションを失った選手は放出すべきだ」と指摘したが、ドイツ代表歴を持つ芸術家肌のMFは、笑顔でプレシーズンツアーに同行している。

 ムヒタリアンの処遇はエージェントを務めるミーノ・ライオラしだいだ。いま、ポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)とマタイス・デリフト(アヤックス→ユベントス)のビジネスを優先しているため、その他の交渉が遅々として進んでいない。

 そしてムスタフィは、アーセナルが設定した2000万ポンド(約26億円)という移籍金が高すぎる。色よいオファーが届かないばかりか、彼もまた、残留を希望している。

新戦力獲得話も停滞、主将も移籍志願……。

 市場が閉鎖するまで3週間を切った。

 相思相愛とされるキーラン・ティアニー(セルティック)、ウィリアム・サリバ(サンテティエンヌ)は、アーセナルが提示した条件が寂しすぎたり、他クラブの横やりが入ったり、交渉はスピード感を欠いている。

 エメリ監督の第一希望とされるウィルフリッド・ザハ(クリスタルパレス)は、移籍金8000万ポンド(約107億円)が高すぎて手が出せない。だからこそ余剰戦力を一日も早く処理する必要があるのに、進捗状況は芳しくない。

 予期せぬアクシデントも生じている。キャプテンのローラン・コシェルニーが契約解除とともにボルドー(レンヌという情報も)への移籍を訴え、プレシーズンツアーの参加を拒否した。彼は品格があり、人望も厚いリーダーである。

「コシェルニーほどの男が……。なぜだ!?」

 アーセナルOBのイアン・ライトも動揺を隠せなかった。

 非はコシェルニーの側にある。どのような事情があったとしても、契約解除をだしにプレシーズンツアーを拒否するなど言語道断だ。

【次ページ】 コシェルニーとエメリの溝は深まるばかり。

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