ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハム、ドラフト戦略の進め方。
吉田輝星を担当したスカウトの場合。
posted2019/07/09 11:50
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Keiji Ishikawa
運命の巡り合いが待つ秋へと向かう足音が、少し聞こえてきた。
7月2日、札幌ドームでの埼玉西武ライオンズ戦。北海道日本ハムファイターズの未来へと向かう基盤を構築する、1人のキーマンと久しぶりに再会した。
山田正雄スカウト顧問――。
長きにわたりアマチュアのスカウトを務めて要職を歴任し、2014年までは編成の最高責任者のGM職に就いていた。その後、現職である。
前職だったスポーツ紙の記者から広報へと職を転じてから、対面する機会が減った。記者当時は、重要な取材対象者であったため球場などでのコンタクトは多かったが、今では年に数度しか会えなくなった。
指名候補は60人程度まで絞られる。
北海道日本ハムファイターズのチーム編成の理念の2本柱は「スカウティング」と「育成」である。来シーズン、その先を見越して、アマチュアの適材を、秋に行なわれるドラフト会議で指名する。「育成」して戦力を一軍へと供給して、チームを強化、構成するのである。その源流となる「スカウティング」がチームの命運を握っている。
広報として3年間、ドラフト会議に携わる機会に恵まれた。前日または当日の取材対応、また報道陣に配布する資料作成が主な業務になる。そこで「スカウティング」にかける気概を、あらためて知ることになった。
指名候補選手は、直前には60人程度にまで絞り込まれている。会議当日になると編成権を持つチーム統轄本部からリストが、広報へ共有される。
指名した場合に備えてメディア配布用の資料を1人ひとり「本格派右腕で最速は150キロ……」など寸評入りで作るのである。指名は10人未満であるため、大半の資料は日の目を見ることはない。