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日本ハム、ドラフト戦略の進め方。
吉田輝星を担当したスカウトの場合。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2019/07/09 11:50

日本ハム、ドラフト戦略の進め方。吉田輝星を担当したスカウトの場合。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

スカウトは1年間地道に対象選手をチェックし吟味。日々の積み重ねが大事な根気のいる仕事だ。

北海道・東北担当スカウトの逸話。

 7月7日――。1年に1度、七夕に本稿を書いている。

 ちょうど1年前くらいのことである。

 北海道・東北地区をカバーしているのが、白井康勝スカウトである。ドラフト外で入団した球団OB、現役時代に22勝を挙げた本格派右腕である。北海道に拠点があるため、他スカウトの方々以上に、接する機会が多い。

 昨夏のこと。白井スカウトと、お互いの近況について話す機会があった。高校野球の地方予選が始まり、既にハードに視察していたのだろう。真っ黒に日焼けをしていた。興味本位で「どこに行っているんですか? いい選手は、今年はいますか?」などと、何気なく聞いた。すると、秋田に頻繁に足を運んでいるという。

 インターネットや雑誌などで、アマ選手をチェックすることが好きなので、その選手の名前だけは知っていた。白井スカウトは「体はそれほど大きくないけれど、いいボールを投げる。僕は推したい投手がいる。潜在能力も高くて、上位指名でも良いくらい評価している」と、言っていた。

吉田の1位指名にスカウトも興奮。

 金足農業高校の吉田輝星投手――。

 各球団、スカウト間では一定の評価をされている水準の投手ではあったが、当時は全国的な知名度はそれほど高くはなかった。

 白井スカウトが嬉々として語る姿から、その名前は頭の片隅に残っていたのである。注目していた甲子園で準優勝してフィーバーを巻き起こしたが、その活躍にもうなずけた。

 昨年のドラフト会議。大阪桐蔭高校の根尾昂選手(中日)を1位入札して抽選で外れ、吉田投手を1位指名した。

 ドラフト会議が行われるホテルの球団控室。白井スカウトは、備え付けのモニターでその瞬間を見つめていた。日ごろは穏やかで冷静だが、興奮していた。

 スカウトに就任して初めて担当するエリアから誕生した最上位の1位指名選手が、吉田投手である。

【次ページ】 GMに聞く最終決断の基準とは。

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