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日本ハム、ドラフト戦略の進め方。
吉田輝星を担当したスカウトの場合。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2019/07/09 11:50

日本ハム、ドラフト戦略の進め方。吉田輝星を担当したスカウトの場合。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

スカウトは1年間地道に対象選手をチェックし吟味。日々の積み重ねが大事な根気のいる仕事だ。

1位指名は当日まで秘密の年も。

 甲子園で活躍するなどした上位指名が有力な高校球児もいるが、名前を聞いたことがない、もちろん見たこともないアマチュア選手も含まれている。

 前日に指名候補リストがあれば資料作成の時間も潤沢にあるが、当日である。トップシークレットの情報であるため、取り扱いは極めて厳格である。

 そのリストは、選手名が羅列してあり、身長と体重、また「右投げ右打ち」などの基本情報のみが記載されている。

 さらに、そこから選手をランク付けしてある重要度の高いリストを有しているのは、ごく一部の限られた人物のみ。GMらを含めて数人。1位で指名する選手を当日までオーナー、球団社長にも秘している年もあるという。

進学希望などをスカウトと共有。

 日本全国でアマチュア選手の動向を注視し、各エリアの対象選手を評価しているスカウトも同様である。自身が推薦している選手が数人はいる。

 その選手の、球団からの評価は最後まで知らされることはないという。プロでの適性、将来性などの能力を評価し、高校生であれば大学進学希望か否かなど情報を収集して、チーム統轄本部へと供給、共有することが主な任務になる。

 推薦している対象選手を、山田スカウト顧問をはじめ、GMやGM補佐、スカウト部長らが「クロスチェッカー」として、いくつもの「目」で視察をする。相対的に、最終ジャッジを下していくのである。各スカウトが推している選手の評価が、球団としては反映されないケースも多々あるという。

 他球団からも評価が高い絶対的な上位指名選手を除き、事前に各スカウトに指名する可能性についてのアナウンスも皆無である。担当しているエリアの選手が指名されるか否かは、ドラフト会議当日の結果が出るまでわからない。スカウトにとっては1年に1度しかない、運命の日になる。

【次ページ】 北海道・東北担当スカウトの逸話。

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