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『守備の極意(上)(下)』
弱小の大学野球部を舞台にした、
“天才”を取り巻く人々の群像劇。 

text by

佐藤多佳子

佐藤多佳子Takako Sato

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posted2019/07/10 07:30

『守備の極意(上)(下)』弱小の大学野球部を舞台にした、“天才”を取り巻く人々の群像劇。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『守備の極意(上)(下)』チャド・ハーバック著 土屋政雄訳 早川書房 各2500円+税

 野球は、団体競技でありながら、局面は個人競技というスタイルに心惹かれる。「シュウォーツはそれをホメロス的スポーツと呼ぶ。押し合いへし合いではなく、孤立した対戦の連続だ。打者対投手。守備者対打球。フットボールでのシュウォーツのように、鼻息荒く突撃して叩きのめすのではない。立って、待って、心を静める。ここぞという瞬間のため、準備をする。しくじったら、責任の所在が特定される」

 舞台はアメリカ中西部の大学の弱小野球部だ。キャプテンのシュウォーツは、選手兼コーチであり、フットボール部にも在籍する。ウェスティッシュ大学のスポーツ界の重鎮だが、自分にはない真の才能を見出し、育てることに情熱を注ぐ。天才的な守備の才能を持つが無名のまま埋もれる運命だったヘンリーは、シュウォーツに発見され、大学のチームメイトとなる。本作のタイトルは、ヘンリーが暗記するほど愛読している、メジャーの伝説的遊撃手アパリシオの著書だ。時々引用されるアパリシオの言葉は、すべて、ぞくぞくするような金言ばかりだ。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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