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天皇杯初戦はJ1王者川崎でも難しい。
明大の健闘と中村憲剛の戦線復帰。
posted2019/07/05 17:30
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Getty Images
「久しぶり過ぎて、どんな感情になるかわからない」
天皇杯2回戦を控えた前日の練習後、負傷離脱明けの中村憲剛は、そう言って少し笑っていた。スタメンではなくベンチスタートが濃厚ではあったが、もし出番が巡ってくれば、5月17日の名古屋戦以来、約1カ月半ぶりの公式戦出場になる。
「無事これ名馬」とはよく言ったもので、J1王者の歴史を知る38歳のバンディエラは、シーズン中の長期離脱を、これまでほとんど経験したことがなかった。
唯一とも言える記憶は2010年2月に負った下顎の骨折なのだが、それももう10年近く前の出来事だ。当時の中村はまだ20代である。
「こんなに試合に出なかったのは初めてだから。顎を折った時も(復帰したのは)50日後かな。でもあの時よりも長いんじゃないかな。もうあっという間に、(シーズンも)半分が来てしまったから」
一体、どんな試合展開で自分に出番が巡ってくるのか。そして、その時に自分の中にどんな感情が芽生えるのか。30代では初めて体験する長期離脱からの復帰戦を、中村自身、どこか楽しみにしていたようだった。
天皇杯初戦は、好調の明治大学。
7月3日に行われた天皇杯2回戦、J1王者である川崎フロンターレは、等々力競技場で明治大学(東京都代表)と対戦した。
明大は現在、関東大学1部リーグで7勝1敗と首位を独走。得点力だけではなく、16試合中12試合完封と堅守を誇っている。
3-2-3-2システムを採用し、前に重心をかけたアグレッシブなスタイルも特徴で、強度の高いプレッシャーと素早いスライドによって川崎のパスワークを寸断してくる狙いが予想された。