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マリノス仲川輝人が張る伏線の妙。
相手の思考を読み取り、裏をかく。
posted2019/07/05 11:40
text by
中川聡(Number編集部)Sou Nakagawa
photograph by
Getty Images
されば港の数多かれど 此の横浜に優るあらめや――。
横浜市歌の歌詞にあるこの一節は「数ある港の中で、横浜に勝る港はあるだろうか、いやないだろう」という意味を表している。横浜F・マリノスのサポーターたちはこれを元にしたチャントを高らかに歌い上げ、選手たちを鼓舞し、勇気と活力を与えてくれる。
6月29日、味の素スタジアムで行われたFC東京との首位決戦ではこのチャントは歌われなかったが、その声援にはその歌詞と同じ思いが込められていただろう。
メディアに用意された記者席がややアウェイゴール寄りであることを差し引いても、マリノスサポーターの声援が明らかにホームチームのそれを凌駕していたのがとても印象的だった。
70%に迫ろうかというボール保持率に、FC東京の倍以上の700本以上のパス数、22本のシュートを浴びせゴールに迫った。その一端を担ったのは右サイドに張った仲川輝人だった。
「あそこに入ることが大事かなと」
前半15分、スルーパスに抜け出した仲川は、ライン際で追いつくと右足でクロスを放り込む。GK林の触ったこぼれ球をマルコス・ジュニオールが右足で押し込み、先制点をアシストした。
さらに4点目を奪われた後の後半38分。左サイドのワンツーから抜け出した遠藤渓太が大きなクロスを上げると、ファーサイドに走りこんだ仲川が右足で合わせて、反撃の狼煙を上げた。
「渓太の突破がよかったし、中にエジもいたんで大外で待ち構えていようかなというイメージで、そこにちょうどボールが来たという感じ。合わせることだけに集中してたんで、どう入ったかはわかんなかったんですけど、あそこに入ることが大事かなと思います」