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オシムが辛口で振り返るCL決勝。
「あったのは厳格な規律だけだった」
posted2019/06/05 08:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
史上2度目のイングランド勢対決となったUEFAチャンピオンズリーグ決勝。初優勝を目指したトッテナム・ホットスパーと、そのトッテナムを下して英国勢最多の優勝記録を6に更新したリバプールの対戦だった。
両クラブの闘いをイビチャ・オシムはどう見たのか。試合終了直後にオシムに電話で聞いた。
どうしてポチェッティーノは……。
――元気ですか?
「ああ、元気だ。君はどうだ?」
――ええ、まあ普通です。それでトッテナムとリバプールの試合ですが、まあ決勝は決勝だったわけで……。
「外で見ていたのか?」
――いえ、ホテルの部屋にいます。
「試合も部屋で見たわけだな。私が疑問に思うのは、どうしてポチェッティーノはベストメンバーを先発させなかったかだ。本来ならスタメンで出場すべき選手が何人もベンチに座っていた。それでは真剣に試合に取り組んでいる印象を受けない。
後半途中から彼らを投入したが、スタメンでは使わなかった。彼の選択がチーム全体に影を落とした。若くてたぶん状態もいい選手たちは、どうして先発ではないのかと疑問に苛まれただろう。試合の終盤に彼らの力で盛り返そうとしたが遅すぎた。
私が不安を抱くのは、今日はすべての試合が素晴らしくなることを求められる、あるいはきっちりとしていなければならないことだ。だから今夜のような試合になってしまう。2つのチームにとって、今日は簡単なゲームではなかった。どちらも最高のコンディションで臨むのが難しかったし、その点は期待もされていなかった。全員が優れた選手であるのは間違いないが、一方は他方よりも決勝を少しだけよく知っていた。
そして試合を考えたらレフリーは、もっと別の判断も下せたのではないか」