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なぜこの選手が育成だったのか……。
巨人・山下航汰が近々“来る”気配。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2019/06/02 11:30

なぜこの選手が育成だったのか……。巨人・山下航汰が近々“来る”気配。<Number Web> photograph by Kyodo News

高崎健康福祉大高崎時代の山下航汰。大型補強が目立つ巨人だが、彼のような原石も二軍で磨きをかけている。

イースタンで打率ランキング2位。

 それだけ推すなら、巨人・山下航汰の“今”はいったいどうなっているのか。

 ここまでのイースタン・リーグで、打率.309をあげている(5月31日現在)。

 規定打席以上の選手で、ランキング第2位。139打数43安打13打点。今のところリーグ最多の「三塁打3本」は、ベースの高さまで気づきが及ぶ走塁センスのせいか。

 四球が5と極端に少ないのは、ファーストストライクをミスショットなく捉える、この打者の高校時代からの最大の長所が今もそのまま発揮されている証拠とみたい。

 “育成”で巨人に入った「山下航汰」を、春先からずっと気にしてきていた。

 2月のキャンプからオープン戦のあたりは、さすがに“音なし”だったが、3月のなかば、イースタン・リーグが始まってしばらくしたあたりから、代打で試合に出るようになった。そこから1カ月も経たないうちに、今度左翼手のレギュラーで使ってもらえるようになったのから、「たいしたもんだなぁ……」と感心していた。

根尾、藤原、小園にもない“現象”。

 傍らから「あいつぐらい、野球に対する執着心と探求心を持った高校生、初めて出会った」と、ある巨人のファーム指導者の驚く声が聞こえてきた時は、なんだか自分のことを誉められたように嬉しかったものだ。

 打者・山下航汰がえらいのは、必ず1本はヒットを打って帰ることだ。そして、その1本を二塁打、三塁打と長打にする試合も多い。

 高校を出て1年目の野手が、たとえファームの実戦であっても、いわゆる「タコ」がほとんどないというのは、同期の逸材・根尾昂、藤原恭大、小園海斗にも見られない“現象”である。しかも放っている1本に長打が目立つのは、しっかりスイングしきっているからだ。

 あとは1試合に3本、4本、ヒットを飛ばせる「爆発力」だろう。それくらいヒットを飛ばして4、5打点あげてみせたら、そこが彼の野球人生の大きなターニングポイントになってくるはずだ。

【次ページ】 山下航汰、おそろしい存在だ。

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