“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
大分生まれ、浦和育ち、湘南で還元中。
梅崎司にとって古巣戦は「幸せ」だった。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/05/25 11:00
湘南で2年目のシーズンを送る梅崎司。古巣・浦和戦では0-2の劣勢の中でも献身的なプレーで大逆転劇を呼び寄せた。
これからのサッカー人生を整理整頓できた。
終盤の大逆転劇ばかりに話題が向いているが、彼はシャドー、ウィング、サイドハーフの3つのポジションをこなし、攻守に渡って気の利いたプレーをし続けた。
31分に、誤審でノーゴールとなったMF杉岡のシュートを導くパスを出したのは梅崎だった。
後半に入ってからも、前への仕掛けと献身的な守備の質は衰えず、78分にはドリブルでカットインしてから、DF山根視来に相手の逆を突くスルーパス。82分には再び左サイドからカットインを仕掛け、ボールウォッチャーになった相手DFを見逃さず、逆サイドの裏のスペースに走り込んでいたMF古林将太へ糸を通すようなクロス。
古林のダイレクトシュートは浦和GK西川周作のファインセーブに阻まれたが、高度な戦術的な適応を見せながら前への推進力を発揮し、劇的な逆転勝利に貢献をした。
かくして、ベテラン梅崎にとって、格別な2連戦が幕を閉じた――。
「この時期に経験できて、本当によかったですね。自分が今抱えている、モヤモヤだったり、課題が物凄くブラッシュアップされたんです。相手が相手だからこそ、若い頃の自分、これまでの自分、そして今の自分の3つの軸を冷静に照らし合わせながら、自分がこれからサッカー選手としてどうしていくのか、整理整頓することができたんです。自分にとって物凄く幸せで、重要な時間でした」
プロとして大分で3年、浦和で10年、そして湘南で2年目を迎えている。すべてに意味があり、まっすぐの道でつながっている。
それを再認識し、梅崎司はこれからさらに伸びていく道を、思考と自分らしさを織り交ぜながら、着実に歩んでいく。