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浦和vs.湘南、山根視来の劇的ゴール。
あの時あの位置にCBがいた理由。

posted2019/05/24 17:00

 
浦和vs.湘南、山根視来の劇的ゴール。あの時あの位置にCBがいた理由。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

J史上に残る劇的な一戦で、渾身のガッツポーズ。山根視来は一躍ヒーローとなった。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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J.LEAGUE

「ナイスシュート、ありがとう! 泣いちゃったよ、ほんとに」

 Jリーグ史に残る壮絶な逆転劇の翌週最初の練習日、湘南ベルマーレのトレーニング場では複数のファンが山根視来に声をかけ、サインをねだっていた。練習場からクラブハウスへ戻る途中の階段には、この英雄が表紙を飾るサッカー専門紙が置かれていた。

「自分がこれの表紙に載る日が来るなんて、思ってもみませんでしたよ」と山根ははにかんだ。

 5月17日の敵地でのJ1第12節、湘南は浦和レッズに2-3の逆転勝利を収めた。2点を先行された後、サイドネットを内側から揺らした杉岡大暉のゴールは認められなかったが、彼らはその誤審を力に変え、後半に3点を返して逆転。試合終了直前に、極めて高い価値のある決勝点を奪ったのが、25歳のDF山根だった。

3バックの右がなぜ敵陣中央に?

 表示された追加タイム3分を回る頃、ファブリシオのミドルをGK秋元陽太が掴み、中盤の右にいた山崎凌吾へフィードを送る。高いボールを的確に収めた長身FWは、センターサークルにいた山根へパス。

 すると背番号13は、前方の松田天馬が左に流れて空けたスペースにドリブルで持ち込み、ボックスに入ったところで右足を振り抜いた。

 不条理な判定への悔しさや怒り、あるいは信じ続けること――。チームメイト、スタッフ、サポーターら、すべての人々の想いを乗せたボールは、相手DFに当たって縦回転を生み、GK西川周作の上を抜けてゴールに吸い込まれていった。その瞬間、彼らの感情は爆発し、冒頭のファンのように涙を流す人の姿もあった。

 それにしてもなぜあの時、ライトバック――普段は3バックの右だ――が敵陣の中央にいたのだろうか。

【次ページ】 攻めきれるだけの体力が残っていた。

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