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巨人・坂本勇人、完成形へ――。
絶好調を支える「右軸打法」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/05/10 18:10

巨人・坂本勇人、完成形へ――。絶好調を支える「右軸打法」。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

坂本のシーズン最多本塁打は2010年の31本。今季は軽く越えるペースだ。

秋山、筒香への質問攻めから見えたものとは?

「ムリに右方向に打とうとしないで、自分の場合は外のボールでも手首を返して三遊間に打つ感覚で対処している」

 これは3年目に話を聞いたときの答えだった。この年は141試合に出場して初の3割をマーク。ところが日本ハムとの日本シリーズでは相手バッテリーの徹底的な外角攻めに21打数4安打の打率1割9分と封じ込められている。そうしてその後も右方向の打球を模索しながら試行錯誤を繰り返す期間が長く続いていたのである。

 ただこの「プレミア12」で秋山や筒香を“質問攻め”にして、1つ出てきた答えが右軸ということだった。

 早速、翌'16年の自主トレからキャンプで右軸打法に取り組み出すのだが、それを後押ししたのが、2月の宮崎キャンプに臨時コーチで訪れていた巨人OBで元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんだったのである。

「右軸という話を聞いたときには違和感があった」

「右軸で回転できるようになった方が安定する」

 このキャンプで坂本は松井さんにこうアドバイスを受けながら、それまでの大きく足を上げて踏み込むフォームを変えた。

 重心を少し下げて足の上げ方も小さくして、右足にしっかりと重心を残してそこで回転する。

 いまのフォームの原型が作り上げられたわけだ。

 それは、松井さん自身がメジャーに渡って試行錯誤の末にたどり着いたスタイルに近いものだった。

 そうしてこの体の中心軸から右軸へと打撃スタイルの転換を振り返ったのが、冒頭の言葉だったのである。

「ずっと軸は体の中心と思ってやってきたから、いろんな人から右軸という話を聞いたときには違和感があったし驚きだった」

 それでも、右軸を意識するようになってからはボールを呼び込めるようになったのだ。

【次ページ】 原監督が指摘した感覚とは。

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