ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
DeNA投手陣の救世主候補は19歳。
阪口皓亮のピッチングは“風”だ。
posted2019/05/13 07:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
清涼感のある、まるで“風”のようなピッチング――。
チームの調子が上がらずネガティブな話題が多い横浜DeNAベイスターズにあって、今季、高卒2年目でプロ初先発を果たした阪口皓亮(さかぐち・こうすけ)の存在は希望を抱かせるのに十分なものだった。
5月3日の阪神戦、阪口は高校時代以来となる甲子園のマウンドに立つとMAX150kmのストレートを軸に、ゾーンいっぱいを利用したカットボールで真っ向勝負。5回を被安打2、無失点で阪神打線を手玉に取った。
「自分のなかでも1、2を争うピッチングでした。プロとして勝負できる手応えを感じました」
まだ19歳。その表情にはまだわずかながら幼さが残っている。しかしながら年齢を感じさせないマウンドでの立ち振る舞いは威風堂々。完全アウェイの甲子園で、落ち着いているように思えた。
「いえいえ。そう見えたかもしれませんが僕自身、人生で一番緊張した登板でした。投げた後もファームでは感じたことのない疲労感がありましたしね」
そう言うと阪口は安堵した柔和な表情を見せてくれた。
春季キャンプは初の一軍スタート。
阪口は2017年のドラフトで3位指名され入団。北海高時代、甲子園においてわずか1試合の登板だったが好投し、スカウトの目に止まった。186cmの長身に加え、すらりと伸びた四肢を活用したしなやかな投球フォーム。自慢のストレートとカットに加え、カーブ、スライダー、スプリット、ワンシームと引き出しも多く、スケールを感じさせるピッチャーである。
プロ1年目となる昨季はファームのみでの登板だったが、日本代表に選出された第2回WBSC U-23ワールドカップで阪口は2試合に登板。とくに10月27日のドミニカ戦で7回無失点の好投を見せたことで評価は急騰した。
ラミレス監督の期待も高く、春季キャンプは初の一軍スタートとなり、今永昇太や山﨑康晃らレギュラーとして活躍する選手たちと貴重な時間をともにした。
「すごく勉強になりましたね。キャンプでは自分の武器であり長所である真っ直ぐに磨きをかけました。自分としては変化球に頼ることなく真っ直ぐで勝負したいんです」
しかしオープン戦では課題である制球の乱れもあり結果を出せず、ファームで今シーズンの開幕を迎えることになってしまった。