プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・坂本勇人、完成形へ――。
絶好調を支える「右軸打法」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/05/10 18:10
坂本のシーズン最多本塁打は2010年の31本。今季は軽く越えるペースだ。
原監督が指摘した感覚とは。
「きちっと“逆方向に引っ張れる”感覚、広角に強い打球を打てる感覚を手に入れたんだと思う」
この'16年のシーズンに打率3割4分4厘で坂本は初の首位打者を獲得している。その時の理由を、原辰徳監督がこう語っている。
そしてこの右軸打法を支えるもう1つの要因となっているのが、'15年から本格的に取り組みだした体幹トレーニングだった。
実は首位打者をとった'16年にはもう1つ、自身初のゴールデン・グラブ賞という勲章も手にしていたのだ。
体幹を鍛えて守備能力まで向上。
「毎年、獲りたいと思っていた」
受賞に際してこう語った坂本は守備に対する意識も高く、毎年、遊撃部門で同賞の有力候補の1人に挙げられていた。
ただ坂本には、二遊間の打球への強さに比べて、三遊間の打球の処理に弱点があった。そこで毎年、同賞の選考ではライバルたちに苦汁を舐めさせられていたのが実情だったのである。
しかし体幹を鍛えることで三遊間の打球を処理して、そこから踏ん張って強いボールを一塁に投げられるようになった。
二遊間だけでなく三遊間の打球に対してもアウトにできる範囲が広がり、それが初受賞へと繋がったわけだ。
そしてこの体幹の強化は、打撃にも少なからず好影響を与えたはずなのである。