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期待の大型CB三國ケネディエブス。
ペッキアの寵愛を受け、成長中。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/04/18 17:00

期待の大型CB三國ケネディエブス。ペッキアの寵愛を受け、成長中。<Number Web> photograph by Takahito Ando

プロ1年目からスタメンでの出場機会を得ている三國ケネディエブス。大型CBとして、秘めるポテンシャルは高い。

指揮官ペッキアから学ぶこと。

 “CB2年目”にして貴重な経験を得ている三國。さらに、彼は今季から福岡を率いるファビオ・ペッキア監督から多くのことを学び、吸収している。

「高卒でスタメンとして出してもらえていること自体が感謝なのですが、ファビオさんは守備に非常に細かい人。ポジショニングについて凄く言われますし、クロスへの対応、ボランチのコントロールなど、本当に多くのことを求められます。最初は『ここも自分が行かないといけないのか』と戸惑いましたが、言われたことをやっていくうちに自分の感覚が芽生えてきました。

 それに、ファビオさんは全体練習が終わった後の自主トレは推奨していないのですが、たまに呼ばれて、ファビオさん自ら指導をしてくれるんです。ビルドアップの練習や、守備時のスライド、最近でいえば、逆サイドにいるCBからパスを受けて、そこから高い位置をとっているサイドバックにつける練習や、左CBをやっている時に左足でFWにパスを送る練習だったり。

 本当に熱心に個別指導をしてくれるので、本当に勉強になります。この熱意に応えたいと思っています」

 ペッキア監督は、経験こそ浅いが、そのポテンシャルが計り知れない18歳のルーキーに大きな魅力と価値を見出していた。CBに怪我人が多いという外的な要因はあるにせよ、迷うことなく三國をスタメンに抜擢し、起用し続けている。

ほろ苦いJデビュー戦。

 もちろん、すべてがうまくいっているわけではない。開幕戦のFC琉球戦では、0-0で迎えた23分に、マークしていたMF中川風希(3月に横浜F・マリノスへ移籍)への対応が遅れ、琉球のエースFW鈴木孝司にスルーパスを通されてしまう。すぐに戻って、鈴木と対峙することはできたが、寄せきれず、鈴木に鮮やかなループシュートを沈められた。

 琉球の記念すべきJ2初ゴールを献上すると、チームはその後、後半にも2ゴールを浴びて、1-3の敗戦。自身が失点に絡んでの敗戦という、ほろ苦いJデビューとなってしまった。

 試合後、ひどく落ち込んでいた三國に、ベテランCB吉本一謙が「俺もルーキーで開幕スタメンを飾ったけど、デビュー戦で前半28分くらいに交代しているから。俺よりマシだよ」と慰めてくれた。指揮官も、三國のもとに歩み寄ってきた。

「ファビオさんが『どうだった?』と聞かれたので、『プロの舞台は応援の迫力が違うし、責任感も凄くて、本当に緊張しました』と話したら、『それがプロだぞ』と。そのひと言で深い愛を感じました」

 これがプロなんだ。

 プロでの最初の公式戦で、いきなりプロサッカー選手という職業の真髄を学ぶことができた。

【次ページ】 三國を使い続ける理由。

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