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世界が羨むイングランドの才能たち。
ペップが狙う20歳、マンUの10番も。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2019/04/11 11:15
フィル・フォデン(右下)らが中心となって制覇した2017年U-17W杯。イングランドには高い技術をもつ有望選手が多く揃っている。
期待のホープが揃う最終ライン。
若手の台頭が著しい。
リバプールのトレント・アレクサンダー・アーノルドは、ロシアW杯で健闘したキーラン・トリッピアーから定位置を奪う公算が非常に大きくなってきた。スピード、運動量でトッテナムの右サイドバックを上まわり、キックの精度、バリエーションもアレクサンダー・アーノルドが凌いでいる。
リバプールの同僚であるジョー・ゴメスも、右足首の故障が完治すればセンターバックのレギュラー候補だ。スピードとフィードにすぐれ、なおかつヘディングも強い近代的タイプである。
左サイドはルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)とベン・チルウェル(レスター)の出世争いだ。
ともに大胆な攻撃参加が魅力だが、コンディション作りで大きな差がある。太りやすく、ケガが多いショー。常にシェイプしているため、大ケガとは縁遠いチルウェル。現時点ではレスターの若者がややリードしており、なおかつ来シーズンはマンチェスター・シティへの移籍が濃厚になってきた。ジョゼップ・グアルディオラ監督のもと、ワールドクラスまで登りつめる可能性も秘めた逸材だ。
争奪戦が噂されるデクラン・ライス。
ロシア・ワールドカップ終了後、中盤センターの人材不足が指摘されていた。ジョーダン・ヘンダーソンも若くはなく、所属するリバプールでは定位置が約束されていない。トッテナムのエリック・ダイアーは好不調の波が激しく、ケガに脆い体質だ。
しかし、デクラン・ライスの台頭により、このポジションの不安は一掃されるかもしれない。リオ・ファーディナンド、フランク・ランパード、ジョー・コールなどを輩出したウェストハム・アカデミー出身で、卓越した状況判断に基づく正確なパスワークは3年ほど前から注目されていた。初招集となった3月のモンテネグロ戦も上々の出来で、ガレス・サウスゲイト監督も「デビュー戦とは思えないほど落ち着いていた」と、ライスの強心臓に舌を巻いていた。
当然、ビッグ6すべてが興味津々である。この夏は激しい争奪戦が展開されるに違いない。なかでもシティの動きが慌ただしくなってきた。同クラブのスカウトが、ウェストハムの試合で頻繁に目撃されている。ライスもまた、グアルディオラの薫陶によってワールドクラスに化けるのだろうか。