One story of the fieldBACK NUMBER
殿堂入りした名伯楽・権藤博が説く、
「プロ野球は中4日で20勝」理論。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/28 17:00
指揮官としては「選手の自主性を重んじる放任主義」だった権藤博氏。ただし、その指導法の裏には綿密な野球理論があった。
「やっぱり菅野(智之)でしょう」
権藤はプロ2年目も61試合に登板し、362イニング3分の1を投げて、30勝17敗。ただ、このシーズンの途中にはすでに球速は落ちてきており、翌年からの10勝、6勝、1勝と実働わずか5年間で投手としてのプレーを諦めることになった。
その後は1973年から指導者の道を歩み始め、中日、近鉄、ダイエー、横浜をコーチとして渡りあるく中、ドン・ブレイザーらから影響を受けて、最終回1イニングを託すストッパーの重用、中継ぎ投手のローテーション制などを取り入れていく。そして、その野球が1998年に初めて監督となったベイスターズで花開くのだが、権藤の野球、投手理論は現役時代の実体験と、指導者として接した選手からの声を合わせてでき上がっている。
それを踏まえての「先発投手の復権」であり、「中4日で20勝」なのだ。
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では、2019年のプロ野球。その可能性があるエースはいるのか。
権藤「やっぱり菅野(智之)でしょう。彼はフリーエージェントまであと3年ですか。個人的には今年から2年間、中5日でまわって、最後の1年は中4日で20勝以上して、メジャーに行ってほしい。
みんなメジャーにいってから中4日というものに対応しようとするけど、それなら行く前からやればいい。原(辰徳)監督なら、やる可能性はあるんじゃないかな」
先発ピッチャーよ、投げろ! 大志を抱け! エースとして投げ過ぎがたたり、一瞬の閃光のように散った権藤がリリーフ全盛の時代にあえて叫ぶ。それだけに、響くものがある。