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16歳で米国でプレー、東京五輪も……。
田中力はバスケの夢を叶えている!
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYoko Miyaji
posted2019/03/16 09:00
日本の同世代ではスター選手だったがアメリカではそうはいかない……16歳での武者修行は田中力を急速に成長させている。
日本では活躍して当然の自信があった。
もっとも、今となってはそんな経験もできてよかったと思えるという。
バスケットボールを始めた頃にうまくいかなかったこと、試合に出られなかった頃の悔しさを思い出すことができたからだ。
日本にいたときには、ミニバス、中学、そして横浜ビー・コルセアーズのU15チームで、スターターで出て当たり前、誰よりも点数を取って当たり前になっていた。実際、同年代でプレーしたら、誰が相手でも取りたいときに得点を取れる自信もあった。ミニバス時代にはチームの87点中85点、中学でも115点中78点を取ったこともあるという。
そういったことに慣れ、いつの間にか何でもできて当たり前だと感じてしまっていた自分がいた。
「日本にいたときは、スタメンが普通とか、試合にめっちゃ出ることが普通とか、めっちゃ得点取ることが普通になってきていた。自分のめっちゃだめなところで、それに慣れちゃって、正直言うと、試合に出ていないときの気持ちがどんどん消えてきていた。
こっちに来て、自分がみんなに比べてレベル低い人になったときに、『やー、この気持ちだ』ってぐっときた。本当に、それが欲しかったというか。自分が出れない気持ちが欲しかったんで、本当によかったと思います」
課題はコートビジョンとリーダーシップ。
アメリカでのポジションはポイントガード。
「彼の身長、6'1”(185.5cm)でアメリカに残りたければ、ものすごく運動能力が高くない限りはポイントガードをやることになる。だから彼はポイントガードとして、声を出してチームメイトを正しい位置にポジションさせるようなことを覚える必要がある。そういった面でこれから少しずつ成長していく必要がある」とマクルーンHCは言う。
田中も、それを理解し、今は自分で得点を取るよりも、味方へのアシストを意識してプレーしているという。「言ってみれば、どんどん河村(勇輝・福岡第一高校のポイントガード)みたいになってきている感じですかね」と、U16代表のチームメイトを引き合いに出す。
「コーチにも、得点取れることはみんな知っているから、アシストにもうちょっと力を入れてって言われています。頑張ってアベレージ6~7アシストぐらいにして(いきたい)。
(今の一番の課題は)“コートビジョン”ですかね。アシストしなきゃいけないんで。あと“リーダーシップ”。自分が試合に出ているときに、セットプレーとかで、ちゃんとみんながいるべき場所にいるよう指示したり。みんなが気持ちよくプレーできるように自分が指示したりしなきゃいけないのかなぁって思います」