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16歳で米国でプレー、東京五輪も……。
田中力はバスケの夢を叶えている!
posted2019/03/16 09:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yoko Miyaji
田中力は、去年、16歳にしてひとつの夢をかなえた。
まだ12歳だったとき、いつものように動画サイトでバスケットボールの動画を見ていた田中は、偶然見かけたアメリカの高校のプレーに魅了され、その学校に行きたいと夢見ていた。それが、今いるIMGアカデミーだった。
「よくYouTubeでバスケを見るんですけど、12歳、小学校6年生ぐらいのときにIMGアカデミーのバスケの動画が出ていて。見ていたらすごい(プレー)のがあって。ちょっと調べたら施設とかコートとか、やばいところだなって印象的だった。お兄ちゃんと見ていたから、ふざけ半分で『いつかここでプレーするわ』みたいなことを言っていたら、本当にこうなっちゃった」と、当時のことを思い出して笑う。
IMGアカデミーから声がかかる少し前には、NBAが主宰するオーストラリアを拠点とするNBAアカデミーからも勧誘されていたが、夢の学校からの勧誘を断る理由はなかった。
「(IMGアカデミーからの勧誘は)もうびっくり。楽しみも興奮も、もう言葉で言えないぐらい」と、今でも興奮気味に語る。
すんなり行かなかった渡米直後。
もっとも夢の世界も、現実になってみると、すべてがバラ色ではなかった。最初の試練は、試合に出られないことだった。
IMGアカデミーはフロリダ州の高校スポーツを統括するフロリダ高校アスレティック・アソシエーションに加盟しており、その規則で、前学期の成績が一定の基準を超えていないと試合に出ることができない。アメリカの高校は4年制で、田中の場合は“ソフォモア(2年=日本の高校1年相当)”に編入したため、日本の中学3年のときの成績が対象となる。その成績が基準に足りず、12月半ばまでは試合には出られなかったのだ。
「(シーズンが始まる)1週間前ぐらいに言われて、『いや、まじか』ってなった」と田中。それから猛勉強し、最初の学期の成績は「2つの教科がAで3つがB」という好成績をあげた。「自分も(成績がよくて)ビビったんですけれど」と笑う。今では笑い話だが、練習に参加しながら、試合に出られないもどかしさはつらかったとも言う。