球道雑記BACK NUMBER
俊足だけど「僕、運動神経悪い」。
ロッテ加藤翔平は早生まれの希望。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/03/12 07:00
果敢に次の塁を狙う加藤翔平は、井口監督としても積極的に起用していきたい選手のはずだ。
中学時代ほぼオール5の頭脳。
加藤が早生まれの理想と言えるような成長の道を歩んだのも、春日部東高の監督だった中野春樹氏(現・東京学芸大監督)と、上武大学の谷口英規監督に出会ったからなのは間違いない。そして中学時代、家庭科と音楽以外はオール5だったという勉強の積み重ねも、彼の成長に影響したかもしれない。
学んだことを整理して、何かに繋げる。プロ野球という厳しい世界で戦う彼の姿を見ていても感じるところで、そんな彼だからもっと大きく成長できるんじゃないかと胸がワクワクして、期待もかけたくなる。
毎年レギュラー候補として名前が挙がるのも、そうした可能性を首脳陣が見抜いているからだろう。
練習熱心で研究熱心。
その姿はプロ7年目を迎えた今も全く変わらない。
昨年のオフは「味の素ナショナルトレーニングセンター」に出向き、自身の動作解析を行い、打撃フォームのチェック、打球の角度などを再確認した。
間違った考えのまま練習を続けても、大した効果は得られない。ならば根本から見つめ直して、正しい動き、考え方を身につけようと、頭の中を一度空っぽにする覚悟を決めたのだ。
動作解析にスポーツ眼科まで。
都内のスポーツ眼科に通うようになったのも、新しい試みの1つだ。
目、脳、体の連動、仕組みの大切さを再確認する。睡眠前には携帯の画面を見ない、使わない。日中も携帯画面を見る際は、なるべく携帯電話用の眼鏡をかけるように心がけた。野球の成績も日頃の生活から。そんな意識改革を行ったのだ。
「動作解析で自分の動きがどうなっているのか、他球団の良いバッターと自分のどこがどう違うのか、そこで今、何をやらなければいけないのかを根本から見つめ直しました。そうしないと自分は何も変わっていけないと思ったんです。
スタートを間違ってしまうとダメだとこれまでの経験から痛感したので、もう一度、秋季キャンプが終ったら1からやって行こうと。そこで首脳陣の信頼や、ポジションを勝ち取っていけるように、と思いました」
自分が覚えたこと、学んだことをアウトプットするかのように、記者に対しても包み隠さず教えてくれる。そんな彼だから、ひそかに応援しているマスコミ関係者もきっと多いだろう。筆者もその1人だ。