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秋山翔吾、筒香嘉智が抜けたら……。
メキシコ戦で見えた侍ジャパンの遠謀。

posted2019/03/11 17:50

 
秋山翔吾、筒香嘉智が抜けたら……。メキシコ戦で見えた侍ジャパンの遠謀。<Number Web> photograph by Kyodo News

メキシコとの2試合では、上林誠知の「動く球」への対応力が際立った。1番起用のメドは立ったか。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 3月9、10日に京セラドームで行われた日本代表とメキシコ代表の強化試合。第1戦は逆転負け。かろうじて第2戦はオリックス・吉田正尚外野手の満塁本塁打などで白星を挙げて面目は保ったが、この時期の日本代表の勝ち負けに大した意味がないのは明白だ。

 それでは侍ジャパンにとって、この2試合にどんな意味があるのか――。

 シーズン直前で、選手にとっては調整という点では負担が大きい。相手のメキシコ代表ももちろんメジャーでプレーする選手は皆無で、メキシカン・リーグのベテラン主体の選抜チームである。しかも当初予定していた監督は所属チームの許可が下りずに来日できないというアクシデントもあり、急遽、コーチに予定していたダン・フィロバ監督が指揮を執ることになったのだという。

 はっきり言って代表チームのスポンサーとの契約を履行することが最大の目標のような試合なのだが、稲葉篤紀監督にとっては明確なテーマがあったはずだ。

「私の選択肢を増やすためにも、まだ見ていない力のある選手を試すチャンスとしたい」

 稲葉監督がこう話したように、11月に行われる「プレミア12」や2020年の東京五輪に向けて、若手選手を発掘することが大きなテーマであるのは言うまでもない。

 ただ、今回に限っては、それ以上により具体的なミッションがこの2試合には詰まっていたはずなのである。

 その1つが「東京五輪で1番を打つ選手をテストする」ということだ。

今年11月の「プレミア12」の1番がいない!

 事情がある。

 昨年の日米野球など、ここ数年の日本代表の「1番打者」は西武の秋山翔吾外野手が中心的に担ってきた。ところがその秋山が、昨年末にメジャー挑戦の意向を示したのだ。となると代表チームで秋山の代役を務めるリードオフマンを見つけ出し、今年11月の「プレミア12」へのメドをつけなければいけない。

 ある意味、そこに当たりさえつけば今回のメキシコ戦はやった意義がある、と言ってもいいくらいに大事な問題なのである。

【次ページ】 メジャーの「動く球」への対応を。

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