球道雑記BACK NUMBER
俊足だけど「僕、運動神経悪い」。
ロッテ加藤翔平は早生まれの希望。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/03/12 07:00
果敢に次の塁を狙う加藤翔平は、井口監督としても積極的に起用していきたい選手のはずだ。
28歳の誕生日翌日に開幕戦。
2019年2月1日、石垣島春季キャンプ。
初日に行われた紅白戦で彼はいきなり初球をたたき、右前にヒットを放った。アウトにこそなったが、すかさず二盗を試みたシーンは、彼の攻める姿勢と今季にかける想いが十分に伝わってきた。それはもちろん井口資仁監督にも伝わっただろう。
加藤は言う。
「正直、プロで野球をやっていて自信がなくなるとき、気持ちが折れそうになるときもあります。でも、そこで心を折らずに日々やるしかない。練習は裏切らないと言いますけど、間違った方向に進んでやっていると平気で裏切ることがあります。練習を正しく継続した人にしか良い結果は訪れない。だから自分も結果を出すんだと信じ、続けないとダメだって自分に言い聞かせてやっています」
早生まれ、そして難病と、幼少からあらゆる壁を乗り越えてきた。
そんな加藤だからこそ伝えられることがある。人生はどこでどう変わるか分からない。自分がもうワンランク上のステージに行くことで、同じような境遇で悩む子ども、親にメッセージを送りたいと考えている。
今年のプロ野球開幕は3月29日、加藤翔平28歳の誕生日の翌日だ。
他人よりも遠回りして遅れてきた大器がようやく目を覚まそうとしている。2019年シーズン、そんな期待を持ちながら彼の姿を見て行きたい。