オリンピックへの道BACK NUMBER
東京五輪挑戦を表明した平野歩夢。
ショーン・ホワイトとの再戦も。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/03/11 08:00
昨年11月にスケボー挑戦を表明した平野。日本男子史上2人目の夏冬五輪出場を目指す。
選考会を兼ねた日本オープンと全日本選手権。
日本オープンには、東京五輪へ向けて、重要な意味がある。
この大会と5月の全日本選手権の2試合が強化指定選手の選考会を兼ねており、代表を目指すにはこの2つの大会で上位に入る必要があるからだ。
スケートボードの五輪種目は「ストリート」と「パーク」の2つがある。平野が出場するパークは、傾斜や大きさなどが異なる皿や深いお椀のような形が組み合わさった窪地のコースで、「トリック」の難易度、スピードや高さなどを評価する採点競技だ。
ハーフパイプと似た面はあるが、とはいえやはり、「別物」と呼んでもおかしくはない難しさはある。日本男子にも国際大会で活躍する選手たちがおり、簡単なチャレンジではないし、スケートボードに集中することによるスノーボードへの取り組みのマイナス面も懸念されてきた。
それでも足を踏み出した背景には、おそらくは平野の「姿勢」がある。
「見たことのない自分への欲求」
以前の取材で、平野はスノーボードに触れつつ、語った。
「人と同じような考え方だったり同じようなことをしていても、人よりなかなか前にはリードできない。自分で考えて、自分でチャレンジしてみる勇気と覚悟とともに取り組んで、自分でも夢かのような最後を、『こいつしかできない』と言われるような選手でいたい」
そうした自身のあり方をひとことで示すように、こうも言った。
「見たことのない自分への欲求……そうですね」
目の前には機会が広がっていて、可能性もある。だからそこに懸ける。スノーボードでの考え方と共通するだろう。