フランス・フットボール通信BACK NUMBER
W杯王者の指揮官デシャン告白。
「頂点に登り詰めたが、人生は続く」
text by
レミー・ラコンブ&フランソワ・ベルドネRemy Lacombe et Francois Verdenet
photograph byRichard Martin
posted2019/03/05 07:00
若きエースストライカーは、チームに合流してすぐに攻撃の核となり、成熟したチームプレーを見せた。
「彼は気持ちを吐露するべきではなかった」
「それに33歳というロロ(コシェルニーの愛称)の年齢は……自分の未来に大きな可能性を抱ける20歳とはまったく異なる。
30代で世界チャンピオンになるのはキャリアの到達点でもあるから、ロロには余計にきつかっただろう。
僕が彼を選ばなかったわけじゃない。直前に負傷したから外さざるを得なかった。だから彼の気持ちは本当によくわかる。
ただ、それを公にすべきかどうか。
彼は気持ちを吐露するべきではなかった。
僕も選手だったから、彼がどうしてそうしたかはわかるつもりだ。多かれ少なかれ選手はエゴイストだが、彼のケースは許容できる」
「ひとりの突出した選手に依存できない」
――世界チャンピオン獲得により、ひとつのモデルがフランスに生まれたのでしょうか?
「それはグループの概念だ。今の代表は、過去のチームのようにひとりの特定の選手に頼ってはいない。そうした偉大な選手は常にコレクティブなサポートを受けていたが、今はコレクティブな力そのものの方がずっと重要だ。
2014年のドイツ同様に2018年の僕らがそうだった。
ブラジル大会のドイツは、特定のひとりの名前を挙げることはできない。中心的な役割を果たした選手が3人、4人、5人いて、誰かひとりに絞りきれない。
今日のサッカー大国は、どこもひとりの突出した選手に依存できないし、すべきでないのが実状だ」
――2018年のバロンドールをフランス人選手が逃したのもそれが理由でしょうか?
「僕にはわからないが残念ではある。
決してルカ・モドリッチが値しなかったと言いたいわけじゃない。勝者には常に資格があるのだから。モドリッチは敬意と知性の両面でフランス人に差をつけた」