リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
裏切り者モラタ、マドリーに戻る。
因縁のアトレティコ加入に勝算は?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2019/01/31 08:00
ユーベ、チェルシー在籍の時期はあったとはいえ、モラタはマドリーの2クラブの因縁と真っ向から向き合うことになる。
チームメイトの多くと仲が悪く……。
「試合にあまり出してもらえなくなり、コケともう1人を除くチームメイトとの仲も悪くなっていたんだ」
当時のチームで同じポジションには現アラベスのボルハ・バストンがいた。監督は彼の方を高く評価していた。モラタがカンテラの責任者に退団の意思を伝えると、「うちから出ていきたいなんて言うヤツはお前が初めてだ」と驚かれたらしい。
「でも14、15歳のときに使ってもらえないなら、残っても仕方がないと思ったんだ」
ヘタフェで1シーズンを過ごしたモラタは、R・マドリーのカンテラに誘われた。祖父とは異なり、小さい頃からR・マドリーのファンだったモラタとしては願ったり叶ったりの移籍だった。
インディオたちは覚えておけ。
そこから先のことは、よく知られている。
水を得た魚となったモラタは17歳にしてBチームに抜擢され、その数カ月後にトップチームデビューを果たした。その後、2014年から'16年までユベントスでプレーしてからR・マドリーに戻り、'17年にはスペインサッカー史上最高額でチェルシーに買い取られた。
その間、彼がアトレティコに対してどのような思いを抱いていたのかは、わからない。しかし、アトレティコサポーターの癇に障る行いはいくつか記録されている。
例えば、R・マドリーのBチーム所属中にアトレティコBと対戦してゴールを決めた際、胸のエンブレムを握りしめたこと。さらに、R・マドリーがアトレティコを破りクラブ史上10度目の欧州王座についた際は、マドリー州政府庁舎前に集まったファンを前にマイクを握り、こんな一節を歌い上げた。
「インディオたちは皆、覚えておけ。
首都は誰が仕切っているのかってことを」
「インディオ」は、アトレティコファンの別称である。