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裏切り者モラタ、マドリーに戻る。
因縁のアトレティコ加入に勝算は?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2019/01/31 08:00
ユーベ、チェルシー在籍の時期はあったとはいえ、モラタはマドリーの2クラブの因縁と真っ向から向き合うことになる。
レアル時代にクラブ愛を……。
また、同年R・マドリーで国王杯を制したときには、ペペを肩車する写真と共にこんなツイートをしている。
「R・マドリーのファンであることは、共に苦しみ、戦い、楽しむことだから! 俺たちの身体を流れるモノを感じることだから!」
チェルシーに移ってからも、モラタはR・マドリーに対する愛情を何度も口にしてきた。2017年11月にラジオ番組に出演したときは「今後もずっとR・マドリーのファンでいる」、「R・マドリーを愛する自分にとって『2度目の復帰はあり得ない』と口にするのは難しい」と語っている。
サポーターの心情はさておき、シメオネはしばらく前からモラタを欲していた。
2016-17シーズンのCL準決勝でR・マドリーと対戦した際、ベンチ近くでウォーミングアップを行うモラタに向かって「来シーズンはうちに来い」と声をかけたという。
シメオネのスタイルには合う。
アトレティコのカンテラで少年モラタを鍛えたコーチも、シメオネのシステムとの相性はいいと見ている。
「センターフォワードながらサイドに流れることもできるし、我々は中盤で使ったこともある。犠牲の精神があって、自ら得点するだけでなく仲間のためのスペース作りもする」
モラタ最大の持ち味は、最前線でターゲットとなってパスを受けられることだろう。それによりグリーズマンの危険度は増す。おまけに空中戦にも強い。
モラタは当初バルサに売り込みをかけていた。しかし、ジエゴ・コスタを怪我で2カ月近く失うことになったアトレティコが関心を示すと、本人いわく「すべてを一旦ストップして」交渉先を絞った。その真意は、故郷に戻れる上にバルサより出場機会に恵まれるであろうから、と目されている。