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丸佳浩、坂本勇人を活かす1番打者。
巨人キャンプの鍵は吉川尚輝に。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/01/28 17:00
2016年のドラフト1位で巨人に入団した吉川尚輝。昨季は怪我によりブレイクならずだったが、今季は内外から多くの期待の声が上がっている。
丸、坂本を活かす1番打者を。
それこそ野村克也元ヤクルト監督ら「2番はつなぎ役」という昭和の野球の信奉者からは批判を浴びそうだ。しかしそういう人材が揃えば敢えて2番につなぎ役を置く必要はないのである。
そして原監督は、丸だけでなく坂本勇人内野手も「2番候補」として名前を挙げ、そのどちらかが3番を打つという構想を掲げている。
昨年の坂本のOPS(出塁率と長打率を合わせた数字)は0.962で、丸に至ってはリーグトップの1.096。この2人がセットになることで巨人打線の得点効率は大幅にアップするという構想だ。
ただ、この丸、坂本の2、3番構想の成否を握る、もう1つのカギがあることも忘れてはならないだろう。
それが1番打者である。
守備面では万全と言える吉川尚輝。
2018年のシーズンでは坂本が不動のトップバッターとして君臨したが、今季は一体誰がこのポジションを埋めるのか――。
その一番手の候補は100m11秒5のスピードスター・吉川尚輝内野手である。
プロ2年目の昨年は高橋由伸監督の下で開幕から2番打者に抜擢され、前半戦は岡本和真内野手とともに、巨人の若手の台頭の象徴的な存在となった。ところが8月のDeNA戦で一塁にヘッドスライディングをした際に左手を骨折。残りシーズンを棒に振っている。
それでも守備範囲の広さを測るUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)は二塁手では広島・菊池涼介内野手の9.8、ヤクルト・山田哲人内野手の8.7につぐ7.8をマーク。
「彼は守るという部分で欠かせない存在」と原監督が指摘するように、守備面からポジション争いが激しい二塁では、頭ひとつ抜きん出た存在となっているのである。