猛牛のささやきBACK NUMBER
根尾&小園に「負けてはいけない」。
オリのドラ1太田椋の自信と父の夢。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2019/01/11 08:00
打撃投手を務める暁氏を父に持つ太田は「父と同じ球団でうれしい」と語り、入寮時にはけん玉をする姿も。
太田は「自分」を持っている。
「小園や根尾は華やかさがあって、高校生離れしている。小園はスピードがあり、『こんなことできんねや!』というすごいプレーをするので見ていてわかりやすい。根尾も肩の強さや精神力といった、他の人が持っていないものを持っていると感じます。
太田はそういう意味では目立ったところがあまりなさそうに見えますが、やはり181cmという体格は魅力です。大型のショートはなかなか出てこないので。この3人の中では一番でかくて、それでいて動きがすごくしなやかで、捕ってからの動きにムダがなく肩も強い。
それに、雰囲気を持っている。練習態度を見ても、話をしても、自分を持っているというか、いつ見ても浮き沈みが少なく心が動かない。普通スカウトが来ていると、キョロキョロと注意力散漫になったり力んだりする選手が多いんですが、彼はそういうことがまったくなく、黙々とやっているのを見て、あ、すごくいいな、と感じましたね」
谷口スカウトは生まれ月にも焦点を当てる。
「太田は生まれが遅いんです。例えば小園は6月生まれで根尾は4月、藤原(恭大、ロッテ)も5月。でも太田は2月14日生まれ。現時点で彼らに劣っているのは当たり前だと思う。伸びしろしかないですね」
小園や根尾に負けてはいけない。
小園や根尾への意識を、太田自身はこう語る。
「負けてはいけない存在だと思っています。高校の時は、まだまだ勝てる存在じゃなかったので、これからしっかり成長していけるように頑張りたいと思います」
太田自身がもっとも自信を持っているのは「守備の確実性」だ。谷口スカウトもこう話す。
「派手さはないけれど、アウトにできる打球を確実にアウトにできる選手。ピッチャーはファインプレーよりも、アウトにできるゴロを当たり前にアウトにしてもらえるほうがいいですから。宮本慎也さんみたいな、ファインプレーをファインプレーに見せないような選手になってくれるかなというイメージがあります」