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ACL決勝、の前にわかった強さの源。
鹿島で個人アピールは許されない。
posted2018/11/09 17:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
J.LEAGUE
「欧州の選手にとって(欧州)チャンピオンズリーグはレベルがグッとあがる。Jリーグの選手にとってACLの決勝はアジアで1番の舞台。そういう試合の前日練習でのピリピリした緊張感を経験できるというのは、若い選手にとってはすごくいいことだと思う。
こういう経験を積み重ねることで、明日の試合でも普通に入って、プレーできる選手になって行くんだと思うし。これから代表へ入ったり、海外へ出ていく若い選手にとっては、この決勝が入り口になるから」
11月2日、ACL決勝戦対ペルセポリス、ファーストレグ前日、内田篤人が語っている。彼自身は10月10日のルヴァンカップで負傷し、リハビリの真っ最中だ。しかし、ロッカールームや別メニューでのトレーニングを行いながらも、トップチームの様子を感じることはできる。
シャルケ時代には何度も欧州チャンピオンズリーグを戦い、W杯なども含めてビッグマッチの経験は多い。試合前日の緊張感から始まるメンタルコントロールは、平常心で試合に挑むうえで重要なポイントだ。何度もそれを経験してきた内田の言葉は重い。
「普通にできれば、やれると思う」と内田はアントラーズの勝利を予想した。
鹿島は落ち着き払っていた。
そして、迎えたファーストレグ。アントラーズの選手たちは、非常に落ち着いてプレーしていた。アグレッシブに試合を始めたペルセポリスの圧力にも慌てるところがない。GKのクォン・スンテは相変わらず好セーブでチームを救ってくれたし、昌子源を中心に守備陣も安定感を見せていた。
前半を0-0で終えると、アントラーズは後半に2ゴールを決める。10分余りの間に2失点したペルセポリスは、退場者を出すなどプレーが荒れた。ファールまがいの強烈なタックルや抗議など、イライラを募らせる相手にも鹿島イレブンは動じなかった。
2-0の完封で試合を終えたが、実は主力組が完封勝利したのは、9月29日の神戸戦以来のこと。ACL決勝へと駒を進めてはいたものの、10月は7試合を戦って2勝3分2敗。そのうちの1勝がACL準決勝のファーストレグであり、もう1勝は10月31日、控え組の選手たちを起用して戦ったセレッソ大阪戦である。普段出場機会のない選手たちが、「ここで勝って、ACL決勝へ繋げる」という強い気持ちのこもったプレーを見せてくれた。