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イニエスタがJリーグに来たのは「キャプテン翼」のおかげ?「古ぼけた小さなテレビの前に座るたび、日本を旅していた」幼少時の思い出とは
posted2022/06/05 17:01
text by
アンドレス・イニエスタAndres Iniesta
photograph by
Takuya Sugiyama
<はじめに>
私は、マリとホセ・アントニオの息子、アンドレスです。マリベルという妹がいます。そして、妻のアンナとともに、ヴァレリアとパオロ・アンドレア、シエナ、ロメオという4人の子どもの親でもあります。
日本はやさしく手を差し伸べてくれた国です
私はプロのサッカー選手です。常にサッカーボールといっしょに人生を歩んできました。私は自分にとって世界一の場所と言える、スペインにあるカスティーリャ=ラ・マンチャ州アルバセーテ県のフエンテアルビージャで生まれましたが、いまは地球の裏側、日本の神戸に住んでいます。
ずっと情熱を注いできたサッカーのおかげで、私たちは素晴らしい国を見つけ、新鮮で、エキサイティングな多くの経験をしています。サッカーに限ったことではなく、広範囲に及ぶことに関して。
神戸に来て3年以上経ちましたが、故郷にいたときと同じように快適に生活しています。未知の、全く新しい文化に触れ、楽しみ、日本が私たちに与えてくれるすべてのものを日々吸収しています。
日本は、今回の大きな冒険を始めた日から、私たちにやさしく手を差し伸べてくれた国です。いま、皆さんが手にしているのは、単なるスポーツの本ではありません。2018年の夏、それまで暮らしてきたスペインの家から1万キロ以上も離れた神戸にやってきて以来、私と私の家族が感じてきたことを皆さんと共有できたら幸いです。
私たちが大きく前進した意味、そして、この“日出る国”でどのように迎えられたかを、舞台の内側から知っていただきたいと思います。まずは、私や家族が日本の方々にとても愛され、リスペクトされていると感じていることをお伝えします。
事実は小説よりも奇なりと言いますが
そして、私たちが大切にしている「規律」「尊敬」「謙虚」「努力」といった価値観は、自分たちを豊かにしてくれています。同時に、異なってはいてもとても魅力的な文化に浸ることで、私たちはこれ以上ないほど有効に時間を活用しています。私の家族、イニエスタ・オルティス家は、サッカーボールの後を追いかけながら一瞬一瞬、生涯決して忘れることのできない経験をさせてもらっていることに幸せと誇りを感じています。
私は子どもの頃からずっとサッカーを愛し、足元にはいつもサッカーボールがありました。プロのサッカー選手になりたいとずっと願ってきました。
事実は小説よりも奇なりと言いますが、私がこれまでの人生で体験してきたことは夢にも思わなかったことばかりです。今日、私がこうしていられるのはサッカーボールのおかげです。はじめは、私をフエンテアルビージャから本格的にサッカーに取り組んだアルバセーテまで導いてくれました。