サムライブルーの原材料BACK NUMBER
川崎優勝から1年。岡山一成が
ついに見つけた夢は選手兼監督。
posted2018/11/10 07:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Kazunari Okayama
川崎フロンターレの2連覇王手に、ソワソワする奈良在住、レジェンドOBの姿が頭に浮かんだ。
昨年は初優勝を信じて当時の背番号「32」のユニホームを着込んで川崎まで襲来し、サポーター席の最前列で甲高い声を張り上げながら応援していた、あの人。
優勝が懸かる大一番、フロンターレは10日にアウェーでセレッソ大阪と対戦する。奈良からも近いし、鼻息荒くして乗り込んでくるはずだと思って電話を掛けてみた。試合前に会って、お茶でもしようよ、と。どうせコーヒー3杯おかわりして話も長くなるだろうから、試合の5時間前ぐらいでどうですか、と。
すると、「行けないんすよ~」とつれない返事。その人、岡山一成は何度も「ごめんなさい」を繰り返した。
1000%で川崎愛を語った男が。
聞けばダゾーンのJ2京都vs.千葉戦の解説が入っているとのこと。それにセレッソ大阪は、2001年シーズンにプレーした思い入れのあるクラブ。どっちかに肩入れすることもできないとか。
「というより解説のお仕事とかやらせてもらって、いろいろとフラットにJリーグを見ようとしているんですよ~。京都のホーム最終節を解説させていただけるのは光栄。お仕事、しっかりやってきます」
どうした、オカ。
勢い1000%でフロンターレ愛を昨年末に語っていた人とは別人のようだ。
でもストンと胸に落ちた。昨季はシーズンを終え、長年にわたって在籍したJFLの奈良クラブと契約満了になり、「次の夢を見つけられないまま」でいた。“岡山劇場”発祥の等々力で優勝をつかもうとする古巣からエネルギーを得るために、力いっぱいの声援をぶつけた。
今年7月に放送され、中村憲剛が登場したNHKのスポーツエンターテインメント番組「グッと!スポーツ」では優勝を決めてスタンドで弾けていたレジェンドが発見できる。