プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日本シリーズを制したホークスは、
完璧なる世代交代までやってのけた!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/11/04 12:30
圧倒的敵地・マツダスタジアムで優勝を決めた福岡ソフトバンクホークス。チーム関係者全員による記念写真。
昨年のシリーズMVPサファテの不在。
昨年のシリーズでMVPに輝いたのは、守護神のデニス・サファテ投手だった。
2017年のサファテはレギュラーシーズンで54セーブの日本記録を樹立した。日本シリーズでも第2、第3戦でセーブを挙げて、王手をかけた第6戦では9回から3イニングを投げてサヨナラ勝利を呼び込んだ。
外国籍投手としては1964年のジョー・スタンカ以来のシリーズMVPを受賞。またシーズンの最優秀選手賞と外国人選手としては初めての正力松太郎賞も受賞した。
まさに絶対守護神だったのである。
しかし、そのサファテが今年のシーズン、日本シリーズのマウンドからは消えている。
開幕直後に負傷で戦線離脱。日本時間の4月27日には右股関節の手術を受けて、いまだにリハビリ生活を余儀なくされているのだ。
守護神不在を救った森唯斗の活躍。
普通なら守護神不在でガタガタになるはずのところだったが、サファテの代役に収まった森唯斗投手がスッとそこを補完した。
昨年のセットアッパーからクローザーに抜擢されると、レギュラーシーズンでも37セーブでセーブ王に輝いた。そしてこのシリーズでも6戦中5試合に登板して3セーブ、2ホールドの防御率0.00と大車輪の活躍。胴上げ投手に輝き、MVP争いでは昨年のサファテに続いてクローザーの連続受賞の可能性もあった。
「抑えられたのは大きな自信になる。監督、コーチに感謝したい」
本人がこう語ったように、このシリーズでは投げるたびに安定感を増して、1試合ごとに成長をみせた。
昨年のMVP男がいなくなっても、その代役があと一息でMVPを受賞し得た仕事をやり遂げる。その完璧なる“世代交代”がこのチームの強さでもあるのだ。
そしてもう1つの“世代交代”は、チームの柱の交代である。