欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
リバプールに尽くせぬ選手は一掃。
クロップは心の底から二冠を狙う。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto press
posted2018/11/03 11:30
ファンダイク(右)と喜び合うクロップ監督。この求心力があるから、リバプールで愛される。
「リバプールこそ心のクラブ」
また、今夏に獲得したGKアリソンにより、守備の強度がグレードアップした。安定感ではカリウスとシモン・ミノレをはるかにしのぐ。シュートストップの技術は言うに及ばず、足下のボールも難なく処理できる。アリソン、もしくはファンダイクが配する正確なロングフィードは、リバプールが誇るフロントスリーの走力をさらに生かすに違いない。
もちろん、すべての入退団が成功したわけではない。フィリペ・コウチーニョは憧れのバルセロナに移籍し、ルーカス・レイバとエムレ・チャンは出場機会を求めてイタリアに渡った。昨シーズン、先行投資という形でチェルシーから補強したドミニク・ソランケは、戦術理解度がなかなか向上しない。
しかし、クロップはゲーゲンプレスに耐えうるフィットネスの持ち主を優先し、基本的には名より実をとった人選で補強を図ってきた。そしていま、彼のプランは実を結び、チャンピオンズリーグとプレミアリーグの二冠も可能な陣容を整えようとしている。
「あのころ、ここに来たときは半信半疑だった。イングランドのフットボール、文化はすべてが新発見で、戸惑いと興奮が入り交じっていたからね。でも、いまはリバプールを、世界屈指の名門を率いるチャンスを与えられたことに感謝し、心の底から光栄だと感じている。もちろんリバプールこそが、心のクラブだよ」
クロップの言葉に、人心が引きつけられていく──。