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イタリアの希望、F・キエーザ。
ネイマールを教訓に“愛の鞭”を!
posted2018/11/07 08:00
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph by
Uniphoto press
キエーザは罰せられなければならない。なぜなら、ネイマールを見てみるがよい。
煎じ詰めれば、そう訴えたのがイタリア・セリエAの中堅クラブ、アタランタを率いる指揮官だ。還暦を迎えたその知将ジャン・ピエロ・ガスペリーニは、いったいなぜ、別のクラブ(フィオレンティーナ)のフェデリコ・キエーザを「罰せられなければならない」と名指ししたのだろうか。
事の始まりは9月30日のセリエA第7節だった。キエーザに奪われたPKによる失点が響き、ガスペリーニ監督のアタランタは試合に敗れる。その恨みはあったに違いない。とはいえ、いわゆる“私憤”に近い感情だけで処罰を求めたわけではないだろう。
キエーザが得たPKは演技?
問題のプレーは61分に起こる。攻撃するキエーザがドリブルでペナルティエリアに進入した直後に倒れ、フィオレンティーナにPKが与えられた。このPKをキエーザのチームメイトが決め、もう1点を追加したフィオレンティーナが2-0で勝利した。
「あれはキエーザのシミュレーション(演技)だ」
試合後、ガスペリーニはそう指摘した。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)がなぜ機能しなかったのかは疑問だが、たしかにスロー再生で確認すると、キエーザが自ら体勢を崩しているのが見て取れる。
追走していた守備者が押したり、引っ掛けたりした形跡はない。ドリブルするキエーザが勝手に躓(つまず)き、勢いあまって、つんのめったのだ。VTRではそう見える。
地面に横倒しになったキエーザが、ただ倒れただけなら、ガスペリーニも何も言わなかったかもしれない。しかし実際には、やや控え目にとはいえ両手を広げ、レフェリーにアピールしていたのだ。
倒された! PKだ! と言わんばかりに。